#12 The Analyse
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹のジローの血を狙っている姉、麗美と、
二次元の男の血が吸いたい妹、蘭子と、
変なところから血が出ている対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
「あー……」
麗美のベッドを占領し、俯せにぐったりするジロー。
「どうかしたの、ジロー。具合が悪いみたいだけど」
「尻が……ちょっとね」
「ぢ?」
「オブラートに包んで言え」
「ってことは、血が出てるってこと?」
「まぁ、そうなる……」
そう答えた後、ジローは何かを思い付いた様子で言葉を発した。
「麗美」
「なにかしら?」
「尻の血なら舐めていいぞ」
「……」
「……」
「……さすがに引くわ」
「……悪い」
気まずい沈黙。そして――
「…………やっぱり舐めていい、ジロー?」
「ごめんなさい!! 本当に悪かったから、マジでごめんなさいだから!!」
舐めさせませんでした。