#45 をいをい
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹の見た目は子ども、頭脳も子ども、年齢は言えない姉、麗美と、
ありえない年齢になったらクレジットカードとか停止しちゃうんじゃないかと怯える妹、蘭子と、
そういえば2人の年齢を知らない対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
「あ、この服もなつかしいわ」
久しぶりのクローゼット整理に熱中する麗美。でも整理は進まずに、古い服がどんどんと外に出ていく。
「これ、流行してたのよね」
年代物とでも形容すべき洋服を広げながら微笑む麗美は、まるで少女時代の写真に思い出話を咲かせる主婦のようだった。
まぁ、実年齢はそれ以上なんだけど。
「……その服と同じやつ、ウチの母親が若い頃着てたな」
「あら、そうなの?」
「ていうか、いくつなんだお前は」
「17歳です♪」
「おいおい」
見た目が15歳くらいだから、ややこしい。
「大体で良いから教えてくれないか?」
「それって意味があるの?」
「ん? なんでだ」
「だって吸血鬼は年を取らないから、何十歳でも何百歳でも関係無いでしょ」
「生まれた年代が知りたいんだよ」
「あ~……」と麗美は頷く。
「でもやっぱりダメ。レディに年を聞くのはマナー違反だし」
「生まれたのは黒船が来た頃か?」
「江戸時代!?」
「いや、本能寺が燃えてた頃か」
「戦国時代!?」
「土器を作って……」
「いつ!?」
「で、正解は?」
「言わない」
「あ、そう」
そんなやり取りをしていた2人の横で、蘭子が自室から出てきた。
「うわ、40年くらい前の服だ……」
40才以上、確定です。




