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#5 おのれ太陽
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹のゲームにハマリ安い姉、麗美と、
懐かしいゲームを急にやりだしちゃう妹、蘭子と、
最近は携帯ゲームばかりやってる対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
「で、何があった」
首を火傷し、う~んう~ん、と唸っている麗美を見下ろしながらジローが言った。
「お姉ちゃんが、ゲームやってて……」
普段は引きこもっている蘭子が、姉の首に冷えてピタッとする奴を貼っている。
「気がついたら朝になってて、日光がダイレクトに」
「ああ、分かった」
そう言って部屋から出ようとするジロー。
「待って……ジロー……」
太陽光線にめっちゃやられた麗美が引き止める。
「血が足りないから、貴方の血をちょ」
「んじゃ明日の夜、輸血パック持ってくるから。死んでろ」
ジロー、帰る。