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ベイビィ・ベイビィ・ローテーション

 疲れたので栄養のある食べ物のレシピを買ってマクドナルドでクウォータパウンダを食べた。新大阪駅のマクドナルドのBGMはバースデイだった。私はハデなスーツ姿だった。ハデというのは普段が地味だということだ。大学生の身分だったころの私は周りのさまざまな無個性の女の子たちの中で個性的になろうとして逆に無個性に、地味になっていた。シルバァのピアスをつけても流行りの眼鏡をかけても何も変わらない。変わるはずがなかった。東京に行っても人間が魅力的にならないように、経験のない頭で試行錯誤して出来上がった自分のファッションは魅力的じゃなかった。


 それに比べてスーツはハデだ。


 色がすごく。



 攻撃的?



 あるいは脳ミソに響く。



 私は一刻も早くスーツをスーツケースにしまって、院生のスズコさんのマンションに行きたかった。スズコさんのマンションはコスモスクエア駅から歩いて一分の場所にある。とても不便な場所だ。スーパーがなくて、あるのはロウソンとセブンイレブンと今はなきゼップオオサカ。それじゃあ、健康的な生活は送れない。スズコさんはとても頭がよくて、胸は極端に小さいが、美人で素晴らしい人だが、血液型がABなので、寂しがり屋のくせに「一人でいる時間を大切にしたいの」と意味が全く分からないことを言って、私と同棲してくれない、最低の女だ。


 私は最低の女の家に行って、スーツを着て、それをスズコさんの前で脱いで、スズコさんがいろいろなことを我慢できなくなったときに、私はそのスーツをマンションの東側の海に投げ捨てる。そういうプランを考えながら、バースデイのクウォータパウンダを楽しんでいる。


 それから私はいろいろな最低な女の子のことを考えた。コーヒーをお代わりした。マクドナルドのとても優秀な店員さんの手が私の手に触れる。私は前のめりで彼女に微笑んだ。彼女は微笑み返す。きっと意味が分かっていない。私は諦めて、コーヒーを飲んだ。砂糖もミルクも入れずに。コーヒーの苦さが分かるのとスピッツの良さが分かるタイミングは確か一緒だった。私はそのタイミングでブラジャーをしたのだ。 


 今日は、スズコさんにしよう。


 そう決めて、私は席を立った。太ももに張り付いたスカートのポケットの中に入れていた折り畳み式の古い機種の携帯が震えた。メールじゃなくて、電話の震え、私は席に座り直し、着信を確かめた。私はとても驚いて、深呼吸をして、女の子たちに褒められる自慢の黒髪に指を入れて、斜めに動かした。


 いとこのメグミだ。


 私とメグミは相思相愛の関係だが、少し苦手だった。家の距離がJRで換算すると二万円ぐらい離れていたので、一緒にいた時間はほとんどなかったし、関係が始まったのは二人が関西の大学に進学してからだったし、メグミのほうが三つくらい偏差値が高いから苦手なのだ。


 彼女は回転の速い頭をわざとゆっくりと動かして、私とキスして、エッチしようと企んでいる。メグミはいとこだから、私はおよび腰だ。メグミの顔が嫌いなわけじゃない。とても可愛い。でもいとこだから、私は、異例中の異例だが、メグミの首にしかキスしていない。


 私はメグミの着信を複雑な気持ちで無視して、スズコさんのマンションに行くために、メトロに乗る。ルートは覚えている。私はピタパを持っている、きっとスムーズにスズコさんのマンションにつける。でも、その時間はとてももどかしい。困る。だからイヤホンをして、ポッド的な携帯音楽プレイヤで、再生する。


 BGM。ローリン。

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― 新着の感想 ―
[良い点] BGMローリンというのはローリング・ストーンズの事なのでしょうか
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