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78/95

78.伝海の力

毎朝5時に投稿していますが、間違えて、5時間早く投稿してしまい増した(-_-;)


なので、次話の投稿は、6月19日にさせていただきます。


久々に投稿をミスりました(;一_一)

最近ばっちりだったのですが<(_ _)>

「昨日は、恥をかかせてくれたな。あれから交番まで連れて行かれ、わしらは大変な思いをしたんじゃ」

 思い出し、その時の怒りが込み上げてきたようで、伝海はみるみる顔が真っ赤になっていった。


 そう言えば、初めてサトの家の庭で会った時、ヒイロに警察を呼ぶと言われ、警察なんか呼べるもんなら呼んでみろと伝海は啖呵を切っていた。

 それが本当に警察のお世話になるはめに陥るなんて……。


「まあ、和尚さま。怒るのは後にして下さい。それより、今は」

「うむ、そうであった。

 おい、娘。お前達は、龍蛇穴への行き方がわかったのだろう」


「えっ?」


 何で、伝海達がそのことを知っているのだろうか。

「ふん、これがあれば、何でもお見通しじゃ」

 そう言って、伝海は懐から装飾の施された、古い灰皿の様なものを取り出した。

「これには、不思議な力がある。お前達のやっていることは、全部分かっとるんだ」

 伝海は、あくどい笑みを浮かべた。


「何の事?」

「ふん、とぼけても無駄じゃ。さあ、わしらを龍蛇穴まで案内せい」

「知らないってば」

 ナナカは、つんと顔を背けた。

「うぬぬ、しらを切る気か。

 この鏡は、事実をありのままに映し出すんじゃ。言い逃れは叶わん」


「鏡? 灰皿じゃない」

「何じゃとっ、罰当たりな!」 

 伝海は、さらに赤くなった。また怒りが大爆発しそうだ。


「ですから和尚、落ち着いて下さい。挑発に乗ってはいけません。

 ナナカさん、とやら。

 これは、灰皿に見えるかもしれませんが、ここに水を張ると、われわれの願っている物のことが、いろいろと映し出されるのですよ。

 和尚には、そういう特殊な力が具わっているのです。

 でも、最近まで、この『水鏡みずかがみ』は、われわれの欲しい物のありかを映し出すことはなかった。しかし、やっと反応し始めた。

 ゴールに近付きつつあるということです」

 ナギラは、もったいぶった言い方で、ねっとりと話した。


「何の事だか、全然分かんないっ」

「ふん、こちらはもう知ってるんじゃ。お前らが、機織姫の宝珠を探していることは。

 そして、龍蛇穴には、何らかのヒントが隠されておる」

「ヒント?」

 全く覚えのない話だった。

 ナナカはただ、ヒイロとタカラを助けに行きたいだけなのだ。


「ごめんね、私、急いでるの。またね」

 ナナカは、駆け出そうとした。

「おっと、そうはいきませんよ」

 ナギラは、さっと動き、ナナカの腕を掴んだ。ナナカは振りほどこうとしたが、やはりすごい力で、ビクともしなかった。


「何す……モゴモゴ」

 大声を上げようとしたナナカの口を、ナギラが抑えた。

「ふふ、また警察を呼ばれたらたまりませんからね」

 ナギラは、にいっと気味悪く笑った。

「むぐぐ」

 そのまま、ナナカを引きずるように、サトの家の庭から、宝専寺へと続く階段を上って行った。





 宝専寺の境内は、子どもの頃の記憶とは違って、日中の明るい時間に来たら、写真を撮りたくなるような素敵な所だった。

 一面芝生の、緑の絨毯になっていて、白い丸テーブルと四脚のおしゃれな白い椅子が置いてあったり、小さな水の流れがあった。ナナカが引っ張られながら、通り過ぎざまに見た所では、小川は、人工的な石造りで、そこには、暗がりではっきりとはわからないが、丸々太った鯉らしき魚数匹が優雅に泳いでいた。


 しかし、相変わらず、建物は、今にも吹き飛ばされそうだった。

(もう、いい加減降ろしてよ)

 暴れようとすると、ナギラも気付き、引き摺っていたナナカを離した。


「さあ、連れて行ってもらいましょうか」

「ここ、昔はこんなじゃなかったのに」

 ナギラの言葉に答えずに、ナナカは辺りを見回した。以前来た時とは、周りが大分変わっている。

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