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「突然ですが、貴方は今から魔王です。」  作者: 野菜イタメ
第一部―――・・・「突然ですが、貴方は今から魔王です。」
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第四話:「Wolf Fang V.S Wolf Claw (狼の牙V.S狼の爪) 前編」

(「`・ω・)「 ガオー! ←狼のつもり。

【魔王城】


 ワーウルフの里から城へと戻ってきたボス達は、保護したワーウルフの少女を空いている部屋にあるベッドに寝かす。

 そしてボスは急いで治療と食事の準備に取り掛かろうとした・・・しかし、そこでスラナに聞きたいことあると止められた。

「魔王、少し気になることが・・・」

「なんだ? あと、魔王って言うな」

「どうして彼女だけが、あんな目に遭っていたんでしょうか・・・? 普通、ワーウルフは仲間意識がどの族よりも一番高いはず・・・それなのに……」

「『どうしてあんな仕打ちをされていたのか』・・・だな?」

 ボスの言葉にスラナは頷く

「……これは推測だが・・・もしかしたら、彼女には何らかの力があったんじゃないか?」

「力・・・ですか? 少しお待ちを・・・今、資料を出します」

 スラナはバックから魔族の資料を取り出し、ペラペラと素早くページを捲りながらワーウルフの特性などを調べる。

「戦争での苛立ちによる暴力ではなく、何かあの者達が恐れる力を持ち合わせているのなら・・・ありました」

「……『ワーウルフの中には百年に一度ばかりとも言われる亜種が誕生し、その亜種により何度か村々を滅ぼされた』・・・という記録だけ書かれてますね」

「亜種? 確かに・・・あの子は他のワーウルフより髪の色が金色のように綺麗な金髪をしてたしな・・・他の奴らは黒とか灰色とか、地味な色の髪をしてたが・・・」

「力は髪の色にも影響することがあります・・・それに、この文章が正しければ……」

「うん・・・だが、もしそれであの子が一人ぼっちにされたのならば、それは悲しいこと。 もしも、その力が抑えることが出来る代物ならば・・・俺の力で彼女を止めよう」

「……変わっていますね、貴方は・・・」

「よく言われる」



【寝室】


 一方・・・時変わって運び込んだ寝室にて、ワーウルフの少女が目を覚ました。

「ウッ…………」



―――ドクンッ



”ココハ……ドコ?………ワタシハ……ナニ……ヲ……?”


 突然、彼女の頭の中が急激に回転する。

 心臓はバクバクと強く唸り、回転する脳みそはまるで突風で勢いよく回る風車の様にグルグルと回転するように目が回り気分が悪くなる。

「ハァハァ・・・! アッ……グァ……!」

 少女の息がだんだん荒くなり苦しみだす。

 心臓は更に太鼓を連打するようにドクンドクンと鳴り、必死に胸を押さえつけるも止まらず、さらに唸り続ける。



―――ドクン!!!



まるで心臓が止まる瞬間に聞こえるような心臓音が聞こえた後・・・少女は床に崩れるように倒れこむ。

そして・・・ゆっくりと起き上がり、顔を上げた。

その顔はまるで獣よりも凶暴で、少女の体でありながら鋭く白い牙、鋭利で研ぎ澄まされたが如く尖っている白い爪・・・

人間の姿でありながら、間違いなくそれは狼そのものだった。


「オオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 狼と同じ声を上げた。 その声は城中に響き渡り、二人の耳にしっかりと入った。

「この声は・・・!」

「……どうやら・・・治療とお食事の前に・・・」

 二人は声がした方向を見る。


タッタッタッタッタッ!


 裸足で床を走る音が近づいてくる・・・そして、次の瞬間。


「オオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

「まず、暴れるこのワンちゃんをしつける作業が先のようだ」


二人の前に現れたワーウルフの少女は鋭く尖っている白い爪でボスに向かって強く引っかこうとした。

しかし、ボスの触手達がそれを許さず、フルオートでボスを守ると同時にワーウルフの少女の体を縛る。

ボスは触手のその行動に 「ご苦労」 と言いながら軽く敬礼をした。


「……やっぱり、その触手達は便利ですね。」

「物みたいな言い方は止めてくれないか? 何度も言うが、こいつ等は物じゃない、者だ。」

「すみませんでした、魔王。 では、訂正を・・・『貴方のご家族は素晴らしいですね』」

「……言葉が若干、変になってるぞ? スラナ」

「申し訳ありません。 少しばかり言葉に迷いました」

 「まぁいいさ」 とボスは縛られているワーウルフの少女に近づいていく

「魔王、大丈夫なのですか? 危険では?」

「大丈夫だ、問題ない」


ワーウルフの少女は 「フー!フー!」 と威嚇をしながら触手を引きちぎろうと必死にもがく。

しかし、一向に千切れる気配が無いどころか、動けば動くほどもがく腕にどんどん触手が食い込んでいく

ギリギリと強く締め、その痛みは純情なものではないほどに痛かった。


「グガアアアアア……!」

 その痛みのあまり、ワーウルフの少女は苦しむようにもがいていた

「なっ? 他の家族にならば、手加減してくれてこうはならないんだが・・・見知らぬ相手にだと、こんな風になっちまうんだ」

「人見知りなんですね」

「かもな。 おーい、痛がってるだろ? それ以上は食い込んでやるなって・・・」

 ボスの指示を受けた触手たちはさらに締める力を止めた・・・散々締め上げたワーウルフの少女の腕は真っ赤になっていた。

 「ハァ・・・ハァ・・・」 と息を切らせながら先ほどまでの元気が一気に消えていた。

「あーあ・・・ロリコン同盟が黙っちゃいねぇかもなぁ・・・」

「なんですか? そのロリコン同盟っていうのは・・・」

「……内緒だ」


ボスはちょっと心配になり、赤くなっている腕を見ようとしたが 「ウー!!」 と先ほどの元気がない態度が一変し、ボスに向かって牙を向けてきた。

「おっとっと・・・」 とボスは慌てて後ろに下がった・・・その時だった。

それを見た触手達は腹を立てたのか、再びワーウルフの少女の腕を強く締め上げ始めた。


「わー!! さすがにそれ以上は可哀想だって! ストップ、ストーップ!!」

「本当に人見知りですね・・・」

 さすがにそれはいけないと思ったボスは急いで触手たちに指示を送り、ワーウルフの少女の腕を解いた

 すると・・・それを機と本能的に思ったワーウルフの少女は勢いをつけてボスに近づき、鋭い爪でボスの腕を引っかいた。

「痛ッ! いたた・・・血が・・・」

 それを見た触手たちは一気に威嚇するようにざわめき立ち、ワーウルフの少女に攻撃をしようとした

 しかし・・・「やめろ」 というボスの制止の言葉を聞いた触手たちはピタリと止まり、「戻れ」 と次の指示に従いボスの腕の中にしぶしぶと戻っていった。

「はぁ・・・俺を思ってくれるのはありがたいが、そう易々と相手を威嚇しちゃいかん。 ただ爪を立てられただけじゃないか」

「いえ・・・普通にそれは威嚇するべきでしょう」

 スラナの心に思ったツッコミをまんま言葉に変えてツッコんだ

「思っていてもそれを口にしちゃアカンって、スラナ・・・」

「申し訳ありません・・・」

 そんな会話をしながらもボスはワーウルフの少女を見ていた

 決して睨んでいるわけでもなく、上から目線で見ているわけでもなく・・・ただ普通に見ているだけ、大して質もない・・・素っ気無い目で見ていた。

「さて・・・どうあれ、このまま放置していたら折角の新築のお城が廃墟と化した遊園地のお城みたいになっちまう・・・」

 ボスは片手を広げ、そこに触手たちを集めてとある形状に固める・・・その形状は刀のようだが、大して鋭い刃でもなく・・・木刀のような形状であり、それを手に持ちヒュッと軽く振る。

 刀の形状になった触手たちは大して重たくなく、まるで持っていないかのような感覚がした。

「これからウチで飼う犬だ。 一つや二つぐらいはしつけないとな?」

 ボスは刀をワーウルフの少女に向けて言った。

 相手には言葉が通じているかは分からないが、それを聞いたワーウルフの少女は人一倍に吠えた。



―――まるで、目の前に自分の身を危険に及ぼすモノが居るかのように・・・



資料No.4[ワーウルフの少女]


名前:ワーウルフの少女(未定)

種族:ワーウルフ

性別:女

年齢:10歳ぐらい

好きなモノ:不明

嫌いなモノ:不明


※備考※


ワーウルフの住処で檻に閉じ込められていた少女。

同じ種族のワーウルフでありながら仲間達から嫌われており、酷い仕打ちを受けた挙句に檻の中に入れられる。

種族の中でも亜種の存在であり、一夜にして村を滅ぼすほどの力を秘めている。

現在その力が目覚めており、ボスに牙を向けている。

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