(現在編集中)第十九話:「Last Dance,」
〚前回までのあらすじ〛
―――ボスと寅午は戦っていた。
そこで、言われた事。
「自分の肉親を殺害した」
どうでもいい。 あんなモノ。
ソウ、ドウデモ……。
〘登場キャラ〙
・ボス:二代目魔王。 昔、自分の肉親を殺害した。
・スラナ:魔王秘書。 王子を連れてボスの下へ・・・
・クリナ:警備員。 同じく魔王の下へ・・・
・ウル:警備員。 同々。
・リナ:魔法使い。 ボスの事が心配で、胸がいっぱい。
・寅午:この世の恐怖。 不気味で奇妙な奴。
――――――・・・第十八話:『Last Dance,』
〖ミスラカル城〗
「はぁ・・・はぁ・・・!」
スラナ達は、王子を連れてボスの下へと急ぐ。
「王子! こっちです!」
「あぁ! 分かっている!」
王子は、スラナ達について行く
囚われて、体力が消耗していたにも関わらず・・・必死に走っていた。
「何としても・・・何としても、アイツ(寅午)の悪事を止めなくては・・・!」
☯
その頃、王座では・・・
【さぁ、お前の思い・・・私にぶつけろッ!!】
ボスと寅午が向き合っていた。
寅午が吠える中・・・ボスは、先ほどとは違う顔つきで落ち着いてた。
「それで・・・満足するのか?」
【勿論。 私はね・・・キミから思いをぶつけてもらって、そして殺すだけで満足なんだよ。】
【それが、私がしてきた事。 君達にとっては”罪”という名の行動だよ。】
「くだらねぇ・・・もう少し、単調な言い方が出来ないのか?」
【悪いね。 私は、大変不器用な物だからさッ!】
寅午は、攻撃を仕掛けてきた。
先ほどと同じように・・・かまいたちでの攻撃。
「不器用者め・・・攻撃が雑すぎるぞ!」
しかし、今のボスの前では無意味。
ボスの触手達が刀の形へ変わり、かまいたちを全て斬る。
【ふむ・・・接近戦も不可。 遠距離からの攻撃も不可。】
「諦めて殺されろ。 特別に痛み無しで殺してやるよ」
【はははッ! 何を馬鹿な事を・・・! 死には痛みが付き物だろう? それに・・・】
「バレたか・・・そうだよ、苦しませながら殺す気だったさ」
【そうかそうか・・・キミは実に最低で最高の人間だよ】
「そりゃどうも」
☮
スラナ達は、ようやく王座近くの付近まで辿り着いていた。
「しかし・・・この床に転がっている兵士達は、全部君達が?」
「えぇ。 殆ど暴走気味のスラナさんが……あっ・・・やっぱり今の無しで」
「……?」
「皆さん、もうそろそろ魔王が戦っている場所へ着きますよ・・・。」
全員は息を呑んだ。 無理もないだろう。
相手は、ボスですら敵うかどうか分からない相手・・・それを相手にしなくてはならないのだから。
全員に緊張と闘志が高まる。
「見えたッ! あそこ!」
スラナが指差す方向には、ボスと寅午が向き合っている風景が・・・
「魔王様!!」
「あれが・・・魔王?」
○
スラナ達の声が聞こえる。
「皆・・・か?」
【おや? 丁度いいじゃないですか】
【ここで、貴方の本性をぶちまけたらどうです?】
「黙れ、ここからは戯言は禁句とする。」
ボスは、寅午を睨む。
【おぉ、怖い怖い。 失敬失敬・・・】
―――そうだ。
あいつ等には、こんな姿を見せなくても良い。
どんなに卑怯でも、どんなに酷くても、こんな姿を見せるものか。
―――俺は、昔じゃなく、今の姿。 皆の前で振舞っている姿こそが・・・自分に相応しい!
ボスの目から、先ほどの殺意が消え去っていく・・・。
「おう、遅かったじゃないか。 待ってたぜ?」
そして・・・何時もと同じような顔でスラナ達を迎える。
それは、”偽り”と呼んでも相応しい。 だが・・・今の彼のあるべき姿。
”ボス”という名の人物を演じる為の嘘だけども本当の感情。
「すみません・・・まさか、王子が城の端っこに閉じ込められていたとは・・・」
「…………。」
「ボス?」
ボスは、スラナの頭に手を乗せ撫でる。
「よく帰ってきたな、偉いぞ」
王子は、ボスの近寄る。
「貴方が、二代目魔王・・・。」
「はい。 私が二代目魔王。 ボスと言います」
(驚いた・・・こんな普通の青年が魔王だなんて・・・)
「すまない・・・共存の話は聞かせてもらった。 この事件が終わったら・・・」
「えぇ、お願いしますよ?」
「我がミスラカルの名に誓って・・・!」
●
【不愉快だ】
その光景を目にしていた寅午の表情には、笑みさえ失われていた。
【実に不愉快、とても不愉快、酷く不愉快だ】
「それは、残念だったな。」
「寅午・・・! 我がミスラカルの名を汚した汝を・・・我は許さんぞッ!」
”ギリッ・・・!”
寅午は、怒りのあまり一つだけ歯切りをした。
【もう良い、完全にキレた。 貴様ら全員殺す。】
黒い闇が城全体を覆いつくす。
「な、何だ・・・!?」
「ようやく本気で来たか・・・」
闇が晴れ、そこら一面の景色は・・・一つの王宮へと変わった。
小鳥が囀り、太陽の光が眩く照らす。
まるで天国の様な・・・そんな感じの場所だった。
【美しい所だろう? 私が生まれた場所。 前の私の最後を描かれた場所だ】
【ようこそ。 我が生き地。 ”グランド・ニュクス”へ・・・】
「場所を移動して何になる? 最後の足掻きという奴か?」
【いいや、最後の死に場所には相応しい場所だと思ってね。】
【良いだろう? 天国で死ぬようで・・・】
「あー・・・そういうのってあんま好きじゃないんだよね・・・」
ボスと寅午。
この二人の会話は、平然としているようだけども・・・それは間違い。
辺りの者からすれば、恐ろしくて近づけない程の威圧。
現に王子とスラナ達の顔には、汗が出ていた。
「スラナ達は、王子の防御に専念してくれ。 俺はアイツとケリをつける。」
「りょ・・・了解しました。」
スラナは、ビクビクしながらも答える。
さっきから、ボスの雰囲気が何時もと同じだけども何かが違う。
それに・・・寅午さえも恐ろしい存在。 たとえ一緒に戦った所で・・・足手まといとなってしまう。
ここは、潔く引くのが正解。 無理に行けば絶対に死ぬ。
「ボス・・・負けないでくださいね。」
「あぁ……スラナ。」
「はい?」
「……行ってくる。」
❖
ボスと寅午は睨み合う。
「ようやくだな。」
【えぇ、最高の決着としましょうか】
”バチィィィーーーン!!!”
二人の攻撃が弾け合い、その衝撃で二人は後ろに下がる。
寅午が先手を取った、先ほどとは違う無数のかまいたちが飛んでくる・・・!
しかし、ボスはそのかまいたちを全て斬り刻む。
キラキラと美しい触手が舞う・・・。
【はははははははは!! 楽しい! 実に楽しいじゃないか!!】
その後も、寅午はかまいたちを飛ばしてきた。
当然、全て切り刻まれるが・・・そろそろ限界が近い。
また一つ、また一つと・・・ボスの体は切られる。
【どうした!? どんどん切られているぞ!! はははははははははは!!!】
次に放たれた一撃はとても大きかったッ!!
「……ッ!!」
(クッ・・・よけ……)
ボスは回避しようとした、だが・・・できない・・・!
後ろには、スラナ達が居る・・・もしかわせばただではすまない。それは自分も同じ。
避ければ助かる。 だが・・・それを選べばスラナ達が・・・
迷う事はなかった。 ボスは、足掻きだが・・・触手を盾の形に変えて防御体勢を整える。
打ち負けるのは理解できる。 だが・・・やらないだけマシ・・・!
直撃。
肉体は切られなかったが・・・内臓や骨・・・肉体全部に酷くダメージが響く一撃を食らってしまう・・・!
「がはっ・・・!」
一撃の衝撃はとてもキツかった・・・
意識さえも飛びそうな・・・血が・・・
「魔王様ッ!!!」
スラナ達の叫び声・・・意識が・・・消え・・・る・・・
―――――――√\________
「起きろ、私の願いを叶えずに死ぬのは許さんぞ?」
だ・・・れ・・・?
「忘れたか? この声を・・・」
知っている。 覚えている。 この声は・・・!
「さっさと起きろ、俺も手伝ってやろう。」
―――――――√\________
【はははははははははははははは!!!】
「そ、そんな・・・魔王・・・死ぬ・・・なんて・・・」
スラナは絶望のあまり膝をついた。
「誰が死んだって?」
【!?】
「!?」
「目ン玉開いてよーく見な。」
「お前の獲物は、まだくたばってねぇぜ?」
そこには、ボスと共に立っているもう一人の人物。
黒い鎧を纏い、漆黒の剣を持った人物。
「ま、魔王・・・様?」
【初代魔王ッ!? な、何故だ・・・!? 何故・・・!!】
「こいつのおかげで一時的だが、蘇らせてもらった。」
「自分でも驚いたぜ・・・まさか、触手が肉体を作り出すとはな・・・」
【作った!!? ありえぬッ!! 決してありえぬッ!! そんな神の事が・・・!】
「忘れたか? 俺の二番目の母親の存在を・・・」
【アルカード!!!】
「我は神を超えし者の家族。 彼女の加護があるかぎり、不可の事が可能に変わる。」
【馬鹿なッ!! 馬 鹿 なッ!!!】
「さぁ、覚悟を決めな。 ここが・・・お前の死に場所となる。」
〚あとがき〛
どうも、零式です。
あらすじの病み具合は我慢してください。 使用です。
さて、いよいよ次回が最終回ッ!
どうなる・・・? 一体どうなる!?
次回にご期待ください。