(現在編集中)第十八話:「ボスノ過去。」
〚前回までのあらすじ〛
ミルハイツ王子を救出する為に向かうスラナ達。
そんな中、ボスは寅午に苦戦を強いられていた。
だが、その時。 ボスの身に確実に何かが秘められている事に気づく・・・。
その頃、スラナ達はミルハイツ王子の叫んだ微かな声を聞き取り
無事にミルハイツ王子の捕らえられている場所に辿り着く・・・
そして……
いよいよ、ボスと寅午の最後の決着が着こうとしていた。
〘(今回の) 登場キャラ〙
・ボス:二代目魔王。 寅午との因縁の戦いにケリを着けるッ!!
・寅午:”この世の恐怖” ボスとの因縁の戦いにケリを着けるッ!!
――――――・・・第十七話:『ボスノ過去。』
〖ミスラカル城 王座前〗
ボスと寅午は、王座の前に向かい合うように立っていた。
【ふふふ・・・王座・・・これは、実に良いステージだ】
寅午がクスクスと何時もの笑みを見せる。
「あぁ、そういえば・・・俺がこの世界に来た時の一番印象になったのが、王座だったな」
そう―――
ボスが、この世界に降り立った場所は・・・王座の前だった。
そこで、初代魔王が倒され……その遺志・・・それをボスは受け継いだ。
そして今、その初代が遂げようとした意思が果たされる。
今、この時、ボスの目の前の男。 こいつを倒せば・・・果たされるッ!!
【さて、覚悟は宜しいですね?】
「……あぁ、来いよ。 お前との戦いと因縁に・・・決着を着けようぜ!!」
☯
先手を取ったのはボス。
強烈な一撃が、寅午の顔面に入った・・・!
だが、寅午はニタリッと笑って拳を構えていた。
「……ッ!」
しかし、ボスは人間とは思えない判断力で一瞬で寅午の攻撃を回避した。
【……!?】
”クィクィ。”
ボスは、挑発するかのように指で「来い」っと、ジェスチャーを送る。
【随分と・・・ナメられてますね】
寅午の拳が開き、何かを掴む感じになった。
そして、そのまま”空気”を掬い上げるかのようにボスに向かって振り上げる。
突然のかまいたち。
ボスは腕でガードをするも・・・かまいたちの威力は凄まじく、腕から幾つもの切り傷が出来上がる。
それを見たボスの口は、ギリギリ・・・と歯切りをしていた。
【ほら、次も来ますよ!】
次のかまいたちが飛んでこようとしていた。
しかし―――
寅午が仕掛ける前に・・・ボスが寅午の目の前まで近づいていた。
【はっ・・・?】
”バキィッ!!”
重い一撃が寅午を吹き飛ばす。
☮
【馬鹿な・・・馬鹿なッ!!】
―――ありえない、ありえない、アリエナイ!!! 何だ? 今のスピードは・・・アイツハ何モシテイナイ。人間ノママダッ!! なのに・・・なのに、何故ダッ!!!
「魔王の力。」
【!?】
「阿呆。 忘れたのか? 今の俺は、魔王なんだぞ?」
【……ハッ! な、ならば・・・!】
「そう・・・俺は”最初から”人間では無かった。」
【可笑しいと思っていた・・・! 普通の人間があれほどまでの戦闘が出来るはずが無いと・・・!】
「俺は、この世界に降り立った時。 その時点で・・・魔王となっていたのさ」
【ありえん・・・! 普通の人間が魔王になれるとは・・・ありえん・・・!】
「それが出来るんだから・・・しょうがないんじゃないか?」
「さぁ、続きと行こうぜ?」
寅午は、一度だけ深呼吸をして興奮状態から抜け出す。
【ふふふ・・・どちらにせよ・・・貴方を倒せば良い事!】
【魔王ごときになった位で・・・この私を超えれる筈は無理な事!】
寅午はボスに向かって突進を仕掛ける
だがしかし、ボスは逃げもせず・・・ただ、手だけを寅午に差し向けていた。
「ここから先は、本気モードっと言うわけでよろしく」
それはまさに本当に一瞬。
寅午のボスに向けて放った片腕が、一気にバラバラに砕かれていった。
寅午の腕を砕いたのは、”触手”
ボスの腕に生えているピアノ線状の触手達が一瞬で寅午の腕をバラバラに砕いたのだ!
【驚いた・・・こんな芸風が出来るようになったのか・・・?】
「この世界に入ってきてからだ。 ここまで触手を操れたのは・・・」
バラバラになった片腕は、霧状に変わり・・・寅午の腕にへと吸収されていった。
【でも・・・腕を切断しただけでは、再起不能にはなりませんよ?】
不気味で気持ち悪い音が寅午の失った腕から聞こえる・・・
そして・・・次の時。
”ブショォ!”
何と・・・! 切断され失った片腕が、まるでトカゲの尻尾のように再生した・・・!
「お前も十分な芸風が出来るじゃないか」
【お褒めの言葉として取っておくよ】
寅午は、クスクスと笑いだす。
【それにしても、それほどまでの能力を・・・”あの時”に使えればよかったですね~】
「……何の話だ?」
【お忘れですか? 貴方が、”自分の肉親をその手で殺した時”ですよ♪】
「……あぁ、あのくだらない思い出か・・・欠片分も残っていない記憶を甦らせんなよ」
【これは失敬。】
【ですが・・・あの時の貴方は、最高に輝いてましたよぉ~?】
だんだん、ボスの表情から明るさが消えていく・・・
その代わり、暗く・・・冷たい表情が表に出てくる。
「人殺すのに美しいも汚いも輝くもへったくれも無い。 くだらない話は止めろ」
【良いですよ、良いですよ~・・・その表情。 実に素晴らしい!】
「……ハァ・・・何が言いたいんだ?」
【そう・・・! 今の貴方の表情はまさに魔王・・・! 冷血で残酷な魔王の表情だぁ~・・・!】
寅午は、ボスの表情を見ていささか興奮気味である。
「だ・か・ら! 何が言いたいんだって・・・!」
【いいえ、ただの戯言ですよ。 ただのね・・・】
”ただの人殺しさん♪”
次の瞬間、驚くべきスピードで寅午の頭を掴んで壁に押し付けて潰した。
❖
「…………。」
【貴方は、自分の勝手なわがままで肉親を※した。】
「……黙れ。」
【そう、包丁でズブリッ・・・とね。】
「……黙れ。」
【中々手馴れてましたよ~・・・悲鳴を上げられないように口を押さえて心臓を一刺し。】
「……五月蝿い。」
【刺している時の貴方の表情は、まさに今さっきのような感じでしたよ♪】
「……喧しい。」
【そんな素晴らしい姿。 貴方の大事な人には見せれませんよね~・・・】
「黙れッ!!!」
✇
【ハハハハハハハハハッ!! 出来るはずが無い! 貴方は、サラ。 貴方の心の傷を癒してくれた彼女を裏切れない!!】
「彼女の名を口にするな!!!」
【何故!? 他人の事を口外して何がいけない!? それは罪なのか? 残酷なのか? それは可笑しい、おかしいぞ!!】
「五月蝿い!! 五月蝿い!! 五月蝿い!!!」
ボスは、触手を飛ばして切り刻もうとした。
だが、体全体を霧に変えた寅午には・・・無意味。
【ハハハハハハハハハッ!! 無駄、無駄、無駄、無駄、無駄ッ!!! お前がした行為は無駄ッ!!!】
【生きている事自体、無駄ッ!! 誰かを愛する事自体、無駄ッ!! 全部が無駄なんだよ!!!】
「〰〰〰〰〰〰〰……ッ!!!」
風景がだんだん黒くなっていく……
闇が・・・闇が、ボスを包み込む。
突然ボスの頭からキィィーーンと、音が響き・・・頭痛と吐き気がどっしりと重石のように圧し掛かる。
ボスは頭を抱えながら苦しむように膝をついてしまう。
☣
―――ボスは思い出す。
昔の記憶・・・サラと一緒にいた時の記憶。
「サラ、俺は・・・お前に酷い嘘をついてる。」
「……私も……貴方に嘘をついてる。」
「お前が? ははっ・・・珍しいなぁ~・・・」
「……貴方は、私を裏切らない?」
「ん? ……裏切らないよ。」
「嘘。」
「あはは・・・バレた? でも・・・もう少し・・・もう少しこうしていたら・・・嘘が本当に変わるかも・・・」
「……お休み。」
「………………ゴメンナサイ。」
それは、とても小さな声。
誰にも聞こえない声。
その言葉は―――
☬
ドクンッ・・・!
「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
”ガシャーーーーン!!”
真っ暗だった風景が、ガラスの様に割れていき・・・元の王座の前へと戻る。
【お、おぉぉ・・・!!】
「サラは・・・皆は・・・家族の皆は・・・! 俺を裏切ったりしない!」
「そして……」
「俺は、あいつ等を裏切らないッ!! 裏切ってたまるかッ!!!」
【くくく・・・ははは・・・あはははははははははは!!!】
【だったら! だったら、その意思を私にぶつけてみろ!!】
【昔にやったように・・・私の心に響く一撃をくれ!!】
〚あとがきのフリをした何か〛
どうも、挿絵が欲スィ……零式です。
もう、この小説は挿絵が無いと何が何だかチンプンカンプンですな。
今回の話は、ちょっとバイオレンスというか何というか・・・ブラックな内容でした。
すまんかった、正直すまんかった。
だから、鞭は・・・鞭はごかんべ...\アッー!/
ここでちょっと解説。
ボスは、本当に人を殺してます。しかも実の親を・・・
そして・・・その後は、死のうとしました。 ですが・・・死ねなかった。
その理由は・・・後々理解できます。
(自分で言ってなんだが、「後々」とか言っときながら・・・全然出てきていない件について。)
次回辺りには、最終回・・・と思ってましたが・・・まぁ・・・ねぇ?
地味に話の回数が伸びていっている件について。
(それから、毎回お気に入りなど色々と見てくれている方々。本当にありがとうございます。)
(この小説とうp主は、皆さんのご意見とアクセス数、評価で出来ています。)