(現在編集中)第十三話:「囚われの王子様。」
〘前回までのあらすじ〙
寅午について話をしていたボス・・・。
だが、そこに(空気を読まない)勇者達が城に侵入してくる!
それに呆れるボス・・・。
スラナ達は「自分達で始末する」っと言うが、ボスはそれを拒否。
「何もしないのは俺のポリシーに反する」
ボスは、己のポリシーを守るべく勇者達に立ち向かう・・・!
そして・・・頭に銃弾を撃ち込み、全員倒したボス・・・
スラナは「ボスが絶対しない筈の”殺す”行為を行った」と思ったが、それは間違い。
実は、撃ち込んだ銃弾は全て”空気砲弾”だった。
勇者達は全員気絶状態のまま、リナの転送魔法により、元の場所に戻された。
〘登場キャラ〙
ボス:主にやる事。「リナの遊び相手」「仲間集め」・・・それ位。
スラナ:魔王秘書。戦闘では中々の物だが、全然戦闘に参加出来ていない。
ウル:ちゃんとサボらずに警備をする良い子。
クリナ:弓と剣・・・最近では、銃を使いこなす戦闘のプロ。
リナ:幼い体をしているが強大な魔力を誇り、難しい魔法をも簡単に理解出来てしまう。
〘舞台〙
【魔王城:王座】
今回は、寅午&勇者襲撃の数日後です。
物語の終盤へと突き進む・・・
―――・・・第十二話:「囚われの王子様。」
ここは、ミスラカル城。
町の全てを監視する所であり、魔族対策の城でもある。
以前、魔王と戦った勇者達は牢獄に居た。
コッコッコッ・・・
足音が聞こえ、国王が牢の前に立つ。
「こ、国王様・・・」
「随分と無様な姿だな、お前達。」
「す、すみません・・・魔王討伐に失敗してしまいました・・・だが!」
「『次こそは』・・・とでも言いたいのか?」
「そうです・・・ですから・・・!」
国王は、勇者の顔を掴んだ。
ギリギリ・・・
勇者の顔が締まる。
「あ・・・が・・・国王・・・さ・・・ま・・・」
「ふむ・・・私も、そこまで悪ではない」
ズズズズズズズッ・・・
国王の腕から黒いモノが・・・
【お前、私の”入れ物”になれ。】
勇者の口に黒いモノが入りこみ、勇者は苦しみだした。
「あぐぅぅぅ・・・! 何・・・を・・・?」
そして、苦しみが解けると・・・
「・・・主、ご命令を」
勇者の目は全部が黒へ染まり、肌の色も褐色の肌になる。
【宜しい。では、手始めに後ろのゴミ共を始末しろ】
「・・・了解」
勇者の腕が鋭い槍に変わる。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
牢獄に断末魔と共に沢山の血が壁にこびりつく・・・
国王・・・寅午の頬にも血が付く
【ふふふ・・・ボス、今度は私の腕が貴方を殺しに行きますよ?】
ふはははははは!!
寅午の笑い声が、断末魔の後に聞こえた。
〖時同じくして、魔王城・・・〗
「そういえば・・・」
本を読んでいたボスが、ふと口を開く
「どうしました?」
「いや・・・この前、ニンスク街に行ったじゃん?」
「あぁ・・・勝手に行ったっていう・・・」
「そう、そこで・・・リナと出会った所の奴隷市場の商人が言ってたんだが・・・」
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―――・・・それは、数日前に遡る。
「良いから、その娘をこちらに渡してくれませんかね~・・・」
「すんなり渡してくれりゃ~そっちは何事も無しで終わるし、こっちも”後々楽しめる”・・・」
「ここは、戦場だぜ?お客さん」
「幾ら、戦場地帯じゃないと言っても、この街は戦場と変わらない」
「何一つ”変わらないんだよ”お客さん。」
「それに、こんな事は戦争じゃあ”よくある事”なんだぜ?」
「よくある事・・・ね」
「確かにあんたの言う通りかもしれんな・・・」
「きひひ・・・そうですぜ、だからそいつを・・・」
「だが・・・」
「どこまで行っても、そいつは”盗人の理”だ」
「もう少し早く”この世界に来るべきだった”と、今では後悔しているよ」
「お前みたいな奴らは、戦争を言い訳にして国の名誉に泥を塗る」
”ただの追いはぎだ。”
「ふ・・・ふへへ・・・あんた、面白い事を言うね~」
「この国の前王子様が言っていた言葉を、まんま言ってやがるぜ・・・」
奴隷商人は、笑い始める。
だが、それは苦笑いだった。
「ほぅ?この国には、そんなまともな奴が居たと?」
「あぁ、話じゃあ・・・前王子は、今の国王により牢獄へ閉じ込められたと聞くぜ?」
「しかし・・・まだ、あのくそったれ王子の言葉を信じる馬鹿がいたとは・・・笑えるぜ」
奴隷商人は、クスクスと笑う。
「そうか、この国にもまともな奴は居たのか・・・」
「なら・・・」
「助けてやらねぇとな~・・・」
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「そんな事を、何故隠していたのですか?」
「いや・・・必要ないと思ったし・・・」
「いえ、その情報は大変貴重ですよ」
「そうなの・・・?」
リナが二人の話に入ってくる。
「えぇ、王子は言わば我らとの共存への鍵・・・王子が居なければ・・・」
「戦争は続く・・・って事か」
「それよか、だんだん収集が付かなくなります。」
「う~ん・・・何時か助けようと思ってはいたが・・・」
「それにしては、豪く時間が長いですね・・・」
「まぁ、色々あったしな」
「たすけるの・・・?」
「あぁ、助けると決めたからには助けないと・・・」
「じゃあ、そとのふたりをよんでくる・・・」
リナは、外で警備をしているウルとクリナを呼びに向かった。
「それじゃ、俺達も準備をするか」
「はい」
====〚数分後〛====
「大丈夫なんですか? 人間達の城へ殴りこみに行くなんて・・・」
「そうですよ~・・・幾らなんでも無茶が・・・」
「いや、今回の件は何としても王子を救出しないと・・・」
「えぇ、この戦争は終わりません」
「・・・分かりました、何処までもお供します!」
「元攻撃部隊長の名において、魔王様を必ずやお守りしますッ!」
「二人共・・・ありがとう。」
ボスは、笑顔でお礼を言った。
「それでは・・・行きましょうか」
「あぁ・・・向かうはミスラカル城!」
5人は、ミスラカル城を目指し・・・向かった!
====〚その頃・・・〛====
ドドドドドドドッ.......
馬の走る音が沢山聞こえる。
そこには、馬の集団が魔王城を目指し、馬を走らせていた。
先頭には、勇者。
後の後方の兵士達の目は、黒く染まっていた・・・
====〚時同じく・・・〛====
5人は、『戦場の境界線』へたどり着いていた。
「おぉ!魔王様だッ!」
「一同!魔王様に敬礼ッ!!」
ビシッ!
魔族の者達は、ボス達に敬礼をする。
「やぁ、皆ご苦労様。」
「いえ、これが我々の仕事ですから・・・」
「そうか・・・そんな皆に言うことがある。」
「はい・・・? 、と・・・言いますと?」
「そこは私が・・・」
スラナが横から入り込み、兵士全員に事情を説明した。
それを聞かれた兵士達は、納得はしたが・・・ざわめき始めた。
「そのような王子様が・・・」
「いよいよ決戦の時なのか・・・?」
兵士達の不安は、少しずつ上がっていく・・・
「心配するな。王子を助けたら、すぐに撤収する」
「その後は・・・話し合うのですね?」
スラナが確認するように聞いてくる。
「あぁ・・・」
「……分かりました。」
「魔王様、気をつけていってらっしゃいませ!」
兵士達は、ボスに敬礼をする。
「あぁ、皆も・・・気をつけてな。」
ボスも敬礼で返した。
「じゃあ・・・行ってくる。」
「はい、お気をつけて・・・!」
ボス達は、歩き出した。
だが・・・
「敵襲ぅぅぅぅ!!」
遠くから、沢山の敵の軍団がやってくる!
「ハァ・・・どうして、こうも敵さんは空気を読まない奴なのかね~・・・」
「魔王、これがイベントって言う物です。」
「スラナ・・・メタ発言は控えろよ?」
「御意。」
敵を乗せた馬が、ボス達の前に止まる。
「ありゃ? お前は確か・・・KY悪人さんじゃないか。」
「…………。」
「やれやれ・・・今度こそ、悪人に成り下がったか?」
「……殺れ。」
剣を持った兵士達が、ボス達に向かい襲い掛かってきた!
「成る程。お城に行かせる気は、さらさら無いって事か」
ボス達は、戦闘体勢をとった。
兵士達が、ボスに襲い掛かる。
「甘いよ。」
バキィ!
ボスのストレートが炸裂する。
(ふむ・・・こいつ等・・・)
ボスは、兵士に一撃を与えて何かを理解した。
「スラナ、ウル、クリナ、サラ。……下がってろ。」
ボスは、銃を取り出した。
「魔王、また空砲弾を?」
「いいや、今度のは実弾だ。」
(……えっ?)
ボスは、高く跳んだ。
前回、勇者達に食らわした攻撃と同じ技を・・・。
敵側の周囲は、たちまち血の海と化した
ボスが着地した所を、兵士達は剣で突き刺した!
だが・・・
そこには、ボスの姿が無かった。
「こっちだ、薄のろ。」
ボスは上空で銃を構えながら体を回転して撃つ。
鉛球の雨が兵士達の肉を引き裂く・・・!
そして、兵士の一人の頭に足を乗せ、勇者目掛け跳んだ!
バンバンバンッ!!
銃声が鳴り響く、それと同時に勇者は腕を剣に変えて銃弾を全て斬る。
「へぇ~・・・腕を剣に変えたの?」
「……死ね。」
勇者の攻撃が、ボスの頭すれすれに通り過ぎる。
ボスが体を捻り、かわしたのだ。
「あめぇーよ、馬鹿。」
バンッ!!
ボスは、勇者の肩を撃ちぬいた。
勇者の腕が一気にだらーん・・・となる。
「…………。」
(こいつ・・・やはり・・・)
勇者は、もう片方の腕を剣に変え襲い掛かってくる!
「チィ・・・!」
ボスは、何とか避ける。
「お前・・・あいつのマリオネットにでもなったか?」
「…………きひひ。」
勇者の口元が笑い始める。
【キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ】
勇者の顔が、だんだん変形していく・・・!
声も・・・口も・・・目の色も・・・!
【いいや、ボス。こいつは私の両腕になっただけだよ。】
「成る程、何となくだが……分かってきたぜ?」
【……? 何をだい?】
「寅午、お前が生き残った理由……それは、自身の体をバラバラにして生き残った。そうだな?」
「……? ……?」
スラナは、ボスの発言が理解できなかった。
後ろの二人や兵士達も理解できなかった。
だが、リナだけは理解できた。
「なるほど、いっかいからだをバラバラにして、そのぶぶんぶぶんにまりょくをちゅうにゅうにゅうしたんだね?」
【ほぅ・・・ボスとそこのお嬢さんは、勘が鋭いな~・・・。】
「まさか、リナが理解できるとは、俺も予想外だった・・・」
【ふふふ・・・では、私の体の謎を解いたご褒美に……私から、恐怖をプレゼントしてあげよう。】
「いるか、そんなもん。」
【まぁまぁ・・・受け取ってくれたまえッ!!】
寅午は、手からテレビの砂嵐のような物体を飛ばしてきた!
「ちっ・・・! ”バグ”か・・・ッ!」
”触手よッ! 刀と化せ!!”
ボスは、ピアノ線状の触手を固め刀に変えた。
「ぶった切るッ!!!」
一線。
刀が、砂嵐を切り裂いた!
斬られた砂嵐は、ヒビが入り・・・ガラスが割れるように砕けて散った。
【ほぅ・・・その腕は変わらないのだね。】
「あぁ、前回は誰かさんが怒りに任せて俺に怪我を負わせたせいで、ご披露出来なかったけどな」
【おやおや・・・嫌味というものかね? それは。】
ガキィンッ!!
ボスの刀と寅午の鋭い爪が、ぶつかり合う。
「そうだよ、クソったれ野郎。」
【やれやれ・・・以前と変わりませんね、君は……。】
二人は、一旦距離を離した。
(さて・・・久々の寅午戦だが……あいつ、能力値が下がってるな。)
【どうしました? 作戦でも考えている途中ですか?】
(多分、あいつは生き残る為に自らの体を解体したが・・・以前までの力だけは、戻らなかったようだな。)
【早くしてください。私は待たされるのは、あまり好みではないので・・・】
(だとしたら・・・)
ダッ!
ボスは、寅午に向かい走り出した。
【そうですそうです。向かってきなさい、イノシシの如く】
ボスは姿を消した・・・!
【分かっていますよ。上か・・・後ろでしょう?】
「いいや、真正面さ。」
【おや・・・?】
ズガァァァンッ!!!
ボスの一刀が、寅午の入れ物……勇者の肉体を切り裂き、吹き飛ばした!!
【ふぅ……効きましたよ、とても。】
寅午は、ガタガタとなる足を無理やり立ち上がらせる。
「おいおい、立つなよ。」
ボスは、寅午に刀を向ける。
【いけませんよ? 人に向かって、刀を向けては・・・】
「てめぇは悪魔だろうが、その上……俺とアルカードに害を加えたしな。」
【害を加えたとは……侵害ですねぇ~・・・】
「黙れ。いい加減、俺もお前の馬鹿面を見るのが飽きてきた。」
ボスは銃を構えた。
「さっさと両腕共……死にな。」
バンバンバンバンバンバンバンッ!!!
銃弾が寅午の体を撃ちぬく
寅午の体は、人形のように踊る様に見えた。
そして……銃声が止み、辺りが静かになる・・・。
【やれやれ・・・今回も、貴方の勝ちですね……ボス。】
「あぁ、待ってろ。今から本体であるお前の頭……取りに行くからよ。」
ボスは、ボロボロになりながらも立っている寅午に向かって指を差す。
【ふふふ・・・楽しみにしてますよ?】
勇者の体から、不気味なオーラが消え去り……勇者は、その場に倒れこんだ。
「…………さぁ、行くぞ。」
ボスは触手を解き、銃をホイスターにしまう。
「ボス……何故、その人達を撃ったのですか?」
「…………もう、人間じゃないからだ。」
「人間……じゃない・・・?」
「ほら、行くぞ。」
―――――〰ボスは、ミスラカル城を目指して歩き出した……。
〘あとがき〙
どうも、零式です。
さぁ、いよいよ終盤へLet.Go! そんなこんなで、十二話突入。
色々と長かったな~・・・おっと、この台詞は最終回前に言うことですね・・・^^;
さてさて・・・詳しく解説をすると・・・
※寅午は、自らの体をバラバラにして生きながらえた。
・つまり、これは……
1、バラバラに解体。
2、魔力を込める。
3、半霊状態になる。
こんな感じ。
リナの台詞が読みづらくてスミマセン・・・。
(設定上、リナの台詞はひらがなとカタカナのみです。漢字が使えない・・・;)
次回は、いよいよ王子救出へ・・・。
※最近、アメブロにて小説を連載開始しました。
内容は、ポケモン不思議のダンジョンをベースとした小説です。
「Zeroの境界線」でググるべし。