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2008/3

 高校の卒業式も終わり、あとは引っ越すのみとなった。


 なので俺は、彼女との思い出の場所を回ることにした。


 俺にとって、決して忘れてはいけない存在。

 いまだ消えぬ罪悪感を胸に、未来へと繋げなければならない。

 二度と同じ過ちをしないように……。


 思い出巡りも終わり、駅へと帰る途中、なんとなく自分のHPをチェックした。


 高校では、個人または友達とHPを作ることが流行っていた。

 写真を載せたり、日記を書いたりするものだ。

 俺も日々の日記をつけるためにHPを作成していた。


 ただ、誰にも教えてはいない。

 唯一、前略プロフィールや他のxxneのプロフィールにはHPのリンクを載せていたが……。


 ただの自己満足だけど。


 そのHPの掲示板に、中学の同窓会の案内が届いていた。


 「中学の同窓会 〇〇焼肉〇〇支店にて 18:00から」


 中学からは遠い高校に進学したため、高校では中学の同級生は一人もいなかった。

 また、友達といえる人ももともといなかったため、同窓会の案内なんてメールでは来ていなかった。


 誰も知らないはずのHPに、当日になって案内が届くなんて、おかしいよな。

 と思ったものの、もし本当だったら……。


 彼女に会える最後のチャンスかもしれない。


 そう思い、該当の時間の少し前に焼肉屋に行ってみると、本当に中学の同級生がいた。


 誰にも誘われていないのに来た場違い感はあるものの、男子の隅っこの席へ座る。


 同窓会が始まっても、周りの会話に適当に相槌を打つだけで、とても心が痛くなった。

 そして、肝心の彼女の方に視線を送ることはできなかった。


 来ていたのかもわからない。

 グラスから目を離すことができなかった……。


 そして、同窓会は終わった。


 二次会の案内を幹事が話していたが、俺は逃げたかった。


 隣の席の子に会費を聞いて支払い、そそくさと逃げた。


 肝心の彼女を確かめることもせずに……謝ることもできずに……。


 俺には、結局なにも勇気はなかった。


 本当にダメな人間だ……。


 この罪悪感は解消できず、今も残り続けている……。

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