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第8話 ラクスのぶらり旅

一方その頃……




リオフェンダールの街を出た俺は、隣町にやってきていた。

冒険者ギルドでの扱いを確認するためだ。



ここはリオフェンダールよりは小さな町だがちゃんとギルドが設置されている。

幸いにも保有していたカードは持ったままだ。

これをこの町のギルドに提出して確認すれば、今どういう扱いになっているか確認できるだろう。



「ラクスじゃないか。久しぶりだな。大丈夫だったか?」

「クラインさん。1年ぶりです。急に申し訳ない」


そしてこの町のギルド長とは顔なじみだ。

ここはリオフェンダール子爵とも仲の良いルオレシアム男爵が治める町だ。


その縁もあって、リオフェンダール領のギルド運営に関わっていた俺はたまにクラインと顔を合わす機会があったのだ。

彼はギルド長として真っ当な人物だったから、いろいろなアドバイスをくれた。


そんな彼ならば悪いようには扱われないだろうと言う打算もあってやってきたんだ。

もしジキルの嘘がこっちにも回ってきていれば、もっと厳しい対応だっただろうから、まずはほっとした。


ギルドに入っていきなりギルド長を呼び出したにもかかわらずだ。ありがたい。


「酷い目にあってな」

「ダンジョンで罠にかかったんだってな」

「あぁ。知っているのか」

「知ってるさ。どう考えてもおかしな話で貶められていることも含めてな」

「そうだったのか……」

「安心しろ。この町で悪いようにはしない。そもそも基金を作る話が伝わってこないし、功績が全部消えてる時点でおかしいからな」

「……ありがとう」

「いいさ。バカどもがやったことなんかもう気にするな」

「あぁ……」

「むしろお前を引き抜きたいところだ。ここにはダンジョンはないけど冒険者の仕事はたくさんある」

「いいのか?」

「そもそも何の問題があるんだ?まぁ、落ち着いて。今日は酒でも飲もう。心配することはない。話は明日だ」


そう言えばこの人は大の酒好きだった。

酒豪ではないところがまた愛嬌がある人だ。

こっちもやりやすい。


「ギルド長。せめて仕事は終わらせてください。ラクスさん、すみませんが少々お待ち願います」

「……メリア……せっかくいい気分だったのに」

「メリアさん。すみません」

当然ながら真昼間からギルド長が酒を飲むなどという暴挙は止められ、俺は時間を潰すことになった。

ちなみにメリアさんはショートカットにした艶やかな黒髪の仕事ができる系の美人さん。

ギルド長のクラインさんの娘で、秘書をしている。

しかも優秀な魔法使いだ。



そうして俺がギルドの隅の長椅子で時間を潰していると、突然ギルド内が慌ただしくなった。





「リオフェンダールのダンジョンでスタンピードだ!」


本当かよ?

俺がいたときは定期的に下層のモンスターを間引いていたが、どうせ俺がいない間はサボったんだろうな。

半年も放置すればスタンピードの可能性はある。

前回のスタンピードのボスはオークキングだったが、さらに前のスタンピードからは20年ぶりとかだったらしい。

今回は恐らく好戦的なモンスターが下層に登場したんだろう。

そいつ自身が率いているのか、逃げた中でボスが生まれているのかはわからないが。


 

「なんだと?状況は!?」

クラインの焦った声が響く。


この町はリオフェンダールの隣町だ。

もしリオフェンダールがスタンピードの対応に失敗したら間違いなく影響を受ける。



「"閃光"のリーダーとなったジギルが100名もの冒険者を率いて上層で迎え撃ったものの殲滅に失敗して敗走。状況は最悪のようです」

まぁ無理だろ。

俺の資産を奪ったエランダからアイテムは貰ってるかもしれないけど、そもそもあいつシーフだし、"閃光"の中で最弱だしな。

クレアもいたと思うんだが、あいつは魔法使いだけど支援や回復の方が得意だからな。


"閃光"の火力は俺だったわけだし。

しいて言うならミシェールなら下層モンスターとも戦えるだろうけど。



「詳細は?失敗して敗走する前に、中層のモンスターくらいは片付けたんだろうな?」

「それが、不明のようです」

「ということは倒せてねぇな。マジかよ……。で?今どうなってる?」

「通信によると、既にモンスターが周囲に出たため、住民は避難させたものの建物に被害があるようです。住民の受け入れを求められています」

「領主様達はどうしてる?」

「領主さまは現地で指揮を執っているそうです!」


状況は報告の通り最悪だな。

領主さまは高潔な方だから殉じるつもりなのか?

シファはどうなった?

娘の1人くらいは逃がすよな?


「報告は以上か?なら対策を……」

「なお、"閃光"のジキルとクレアが逃走し、エランダ殿も姿を消したという話が……」

「なんだと!!!!!?」

マジかよ。

あいつら最低だな……。


俺は立ち上がる。


「ラクス?行くのか?」

「あぁ……シファを助ける。ミシェールも。あと住民もだ」

「気を付けて行け!こちらも部隊を送る!」

「助かる」

ありがたいことに支援部隊を出してくれるようだ。

まぁ、スタンピードの被害は周囲に広がるから、この町としても対策が必要だ。

それでもこんなに迅速な対応は、やはり助かる。


「私が行くわ。馬もあるから、先行しましょう」

「ちょっと待て!ギルド長の娘が行く場面じゃない!」

「いいじゃない。ラクスなら余裕でしょ?むしろ一番安全よ」

「そういうことじゃない!」

なんか親子で言い合ってるけど、俺は行っていいよな?


「あっ、待って、ラクスさん!ほら、父さんがぐずぐずするから!」

「わかったよ!蹴散らしてこい!」

あっさりと決まったが、メリアが優秀な魔法使いなのは間違いないから問題ないな。

お読みいただきありがとうございます!

おもしろかった!と思っていただけた方は、ぜひ↓下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価を★★★★★に変えて頂けたら作者が飛び上がって喜びます!(面白かったと思って頂けたなら★★★★★、つまらなかったら★)


18話位の完結予定です。完結までお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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