第27話 クズの末路⑥
「なお、大変申し上げにくいのですが、当家からアレサンドロ殿にお預けしたお金があります。実際には不肖の娘であるエランダがアレサンドロ様にお渡ししたものです。それは、本来エランダの持つべき金ではなく、こちらのラクス殿のものなのです。お返しいただけますよう……」
「なにをばかな!」
そして領主様が反撃を開始した。
言い方はあれだが、裏にはお前たちがエランダを騙して盗んだ金を返せと言っている。
捨て置かれたカジノの従業員から裏は取れている。
ようするにエランダは騙され、操作されたカジノで負け、借金を背負わされていたらしい。
法を犯して資産を奪ったエランダは許せないし、もし生きていたとしてもジキルと子供を作ったエランダと仲直りすることはあり得ないが、それでも俺は公爵たちが許せない。
また、この話が事実であると確信して以降、公爵への恩義を前面に押し出していた領主様すら沈黙した。
たしかにこれまでこのリオフェンダールの街がダンジョンと共存してこれたことには公爵の協力があった。
支援物資を送り、ギルドの運営を手伝い、資金を出してくれていたし、物流も支援してくれていた。
だが、それは公爵にも利益があったためだ。
決して一方的な支援ではない。
あくまでもお互いが信頼関係の上で良い関係を築く布石にはなるものだ。
その前提のもと、領主様は公爵に感謝していた。
相手からも信頼を得ていると思っていた。
しかしふたを開けてみたら出てきたのが、自らの娘を使った悪辣な企みだったのだ。
その怒りと悲しみは相当なものだろう。
だから許すつもりはないらしい。
もし仮に領主様が矛を収めても俺は折れないんだけどな。
「アレサンドロ様、それからガンドス殿の所業を打ち明ければ納得いただけますかな?」
「……」
公爵は沈黙した。恐らく何がバレたのかと考えているのだろう。なにが、というよりどこまで、かもしれないが。
ちなみにアレサンドロ、ガンドスともに行方不明のため、裏を取ることはできないが、公爵の立場から見ると、俺たちがどっちかを押さえていると思うかもしれないな。
「ちなみに金貨1,000枚になりますが」
「なっ……」
「さすが優秀な冒険者なのですね、ラクス様は」
「はっ?」
そして、こんなタイミングで話を挟んでくる……ミネルヴァだっけか?
強引に話を変えるつもりらしい。
「アレサンドロの不備で申し訳ないですが、さすがに報告を受けていない財貨については現在確認を取ることができません。後日、確認をしてからにして頂きたいですわ。そうですわね、お父様」
「うむ。しっかりと確認しよう」
何度も言うがアレサンドロは行方不明だ。
つまりこれは永遠に確認が取れない話となる。恐らくこれ以上引っ張るなという警告もしてきてるんだろうな。面倒な女だ。
「では、不幸な行き違いがあったようだが、無事晴れたようだ」
「えぇ、今後とも節度あるお付き合いをお願いいたします」
やっぱり強引に終わらせに来たな。そして、領主様はかなりの壁を作っている。
「では、次に、そちらのラクス様は優秀な冒険者とのこと。さらに今回のことで王家から陞爵の話もあがっているとか。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
終わったと思ったら俺に話を振って来た。
「ラクス殿はとても優秀です。スタンピードのモンスターからこの街を守り、さらには打ち倒したのだから」
領主様が……これは自慢かな?
「さらにエランダのことを許し、シファとの婚約もして頂きましたので、ようやく私も肩の荷がおりると期待しております」
「それはめでたいな。しかし、ドラゴンを倒したという快挙を成し遂げたのだ。その功績は光り輝くばかり。今後のことを考え、どうだろうか。このミネルヴァと結婚し、王国にさらに貢献していくといい」
「お断りします」
「!?」
領主様の言葉に被せて公爵がいきなり話を振ってきたが、間断なく宣言してしまった。
周囲の驚愕の視線を受けて、『あっ』と思ったけど、もう遅い。まぁ、嫌だから別にいいか。シファの目の前だしな。
「もしや照れておるのか。それとも婚約者への義理か。心配することはない。シファ殿も娶ればよい。貴族になるのだから特に問題はないはずじゃ」
『そろそろよいかの?聞こえておるか?』
「誰だ?」
「そもそも俺はシファが好きなので、可愛い天使のようなシファ以外との結婚なんか考えていません。それに陞爵という話は特に聞いていませんし、俺は冒険者です。このダンジョンに潜り続ける義務もあるのでここにいますが、俺は俺を支えてくれたシファとずっとここにいます」
「……」
あれ?なんか通信魔道具から声がしていたけど、怒りに任せて喋ってしまった。
「ただの冒険者が貴族の誘いを断るだと?」
「えぇ。何か問題がありますか?今この場でぶっ……」
『待ちなさい、ラクス。私が話しているのに遮るとは良い度胸だな、貴様』
「申し訳ございません、陛下」
「はっ?」
そう、この通信の相手は国王陛下だ。
普段は俺のことをなぜか気に入ったらしい王女様と話しているけど、持ち主はこの方だ。
「へっへっへっ陛下?」
『ずいぶんと勝手なことをしておるようだな、公爵よ』
「めっ、めっそうもありません」
その後は特に話にならなかった。
公爵は失態を記録され、さらに王家がこの日のために用意してたのかなと思うくらいたくさんの違法行為をあげられ、粛清された。
まぁ叩けば出るよな。
興味もないから知らない。
領地没収、子爵落ち、財産徴収、あと何があったっけ?
そして夜、真っ赤な顔をしたシファに『嬉しかったです』と言われ、語り合い、夜部屋に帰そうとしたら怒られ……あとはご想像にお任せします……。
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