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第24話 本気のダンジョン攻略のはずが異世界ラブコメ回③

「はじめてのダンジョン探索なので驚きっぱなしです。いつもこんな感じなんですか?」

陣形として、先頭が俺、次にミシェール、メリア、シファ、クレアの順で進んでいる。

特に問題なくモンスターの対処はできているものの、罠があったり、中層とは明らかにレベルが違うモンスターが出てきたりする中で、メリアが呟いた。

 

「そもそもスタンピードの時が初めてのダンジョン入りだったので……」

「下層は相変わらず厳しい環境ですね」

「いつもどおり。心配ない」

同じくほぼ初めてなので緊張気味のシファの反応は可愛いとして、あとの2人は平常運転だ。

 

これまではジキルが先行して周辺調査を行いながら進んでいた。

あいつは罠探知があったから常にそれを使って進ませていた。


しかし今はそれがない。

それで罠探知を俺が使って進んでいる。


えっ?できたのかって?

当たり前だろ?


ジキルが入るまでは俺がやってたんだから。

ちなみにミシェールも使えるけど、俺の方が魔力量が多いからな。

 

「それにしても、罠探知使っててなんであんなわかりやすい罠に引っかかりやがったんだろうな、ジキルのやつは」

「わざとって言ってたよ?」

「それは本当に?」

「本当に」

「あんのクソ野郎が!」

まさか明確な答えが返ってくるとは思っていなかったが、クレアが無表情のまま答えてくる。

強がりかと思ったのに、本当にわざとだったのかよ。


「俺が助けなかったらどうするつもりだったんだ?」

「身代わり石を使うだけだったみたいよ?」

「ふざけんなクソ野郎!」

マジで最低だ。

なんだったんだ、あのクソ野郎。


「下層からどうやって戻るつもりだったんだ?」

「知らない」

「怒ってるところすまないが、あのバカはノープランだと思うぞ?」

控え目に言い放つミシェールの言葉を聞いて俺は天を仰ぐ。

集団自殺でもするつもりだったのか?


「ジキルはラクスの力を認識してないみたいだしね。私とクレアがいたら問題なく戻れると思っていたということかも。戻るときに多くのモンスターに襲われて驚いていたから。『なんでこんなに……』って」

「なぜ?バカなのか?」

「普段が帰りにあんまり敵に合わなかったからだと思う。ラクスのおかげなのにね」

なるほど。

ミシェールが言うことは理解できる。


行きは罠解除をジキルが可能になるようにするために周囲に魔力を振りまくことはできない。

あと、どんなボスモンスターが出るかわからないから魔力は温存して進んでいた。


でも帰りはそんな必要はない。周囲に魔力を展開し、モンスターを避けながら進んでいた。

それを勘違いしたのか。

バカだな。

説明してたはずなのに……聞いてなかったんだろうな。都合よく解釈して。



まぁ、あいつがどうなったかなんか、悪いけどもう気にしたくもない。

それこそ逃亡した後は行方不明だ。あいつと、アレサンドロ。

クレアによると、クレアを連れて逃げたあいつらは砦にクレアを置いて逃げたらしい。

その後の足取りは追えなかったということになっている。

もう考えるのをやめよう。


別口で逃げたエランダも行方不明だ。

こっちは本当に……。


あっ、ジキルとアレサンドロも行方不明だぞ?本当だぞ?



「それにしても、中層と下層ではモンスターの強さがかなり違いますね」

「あぁ」

「それでも何もすることがないですね」

「女の子に戦わせたくないだろ?」

「あのぉ、ここダンジョンなんですが」

「楽でいいわ」

それにしても姦しい。

気楽で楽しくていいし、別に誰とも気まずい関係ではなく、なんなら好意ばっかり向けられている。

 

深層に半年間も籠って、文字通り生死をかけて戦い続けて出て来た俺にとって、下層のモンスターに手こずるようなことはない。

そもそも半年前の時点でもあまり苦戦したことはない。


せいぜい前方や後方から迫られてジキルやクレアが捕まった状態での戦闘だと少し冷や冷やしたくらいだ。


あれ?

俺、なんでこいつら連れて来てたんだっけ?


「シャイニングスラッシュ!」

『グギャ―――!!!!』

珍しくワイバーンが出て来たけど、一刀両断だ。


「すっ、すごい……♡」

「ほんとうに……。ラクスさん、ちょっと引くぐらいつおいですね♡」

「ラクスは強い。組んでいて安心する」

「いつでも抱かれていい♡」

お前ら……。

まぁ、悪くないけど。



そんな感じで、夜のお店で豪遊する金持ちが複数引き連れて同伴してる感じで俺たちはボス部屋に辿り着いた。


シファがくっついて来るのは可愛くていいんだが……じゃない。

君たち、ちゃんと陣形くらい守って!

いや、引っ張るな!

おい!真面目にやれ!



さすがにこれは酷いので、俺でも怒ろうとしたが……うん、ある意味楽しかったからいいことにしよう。


なっ、なんだよ!決して色仕掛けに負けたわけじゃないんだぞ!?

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