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第15話 ラクス見参!

「ラクス!遅いぞ!」

「ミシェール?目が覚めたのか?」

「あぁ。シファがお守りを使ってくれてな」


なるほど。シファに渡したお守りには傷ついたら自動で回復する魔法が入っていた。

シファを守れたらいいなと思って渡したやつだが、ミシェールも大事な相手だ。

きっと反応して、回復してくれたんだろう。助かった。


あのアイテムは入れる魔法を変えれる便利なアイテムだ。

回復魔法じゃなくて、支援魔法とか、カウンター系の魔法を入れたこともある。

お守りは何かあった時に効果を発揮してこそだけど、渡す相手ごとに能力が違うし、想定されるピンチも違うだろ?


ミシェールもまだ持ってくれているようだ。たしかそっちは物理防御と回復魔法を入れたんだけど、彼女のも空っぽ。

きっと俺が罠に落ちた後に逃げのびるときに使ってしまったんだな。


俺は2人のお守りに再度魔法を充填する。

今度はそれぞれを守る効果だ。 


「あぁ、なるほどな。シファがミシェールを訪ねたんだな?」

「うん……スタンピードに巻き込まれたらまずいと思って……」

「そうだったのか。ありがとう、シファ。まだお礼も言えてなかった」

「お礼を言うのは私の方だよ。なんか普通に会話してるけど、伝説の街を破壊したドラゴンのブレスに耐えたんだよ?誰も欠けてないよね?」

シファがきょろきょろと周りを見渡す。

たぶん誰も欠けてないぞ。


「みんなもありがとな。俺のことは嫌ってるだろうけど、シファとミシェールを助けてくれてありがとう」

「いや、俺たちこそすまねぇ」

「そうよ。騙されてしまって……ジキルの発言のおかしなところを考えもしなかった」

「ラクスさんが俺たちのことを考えてくれたのすら知らなかったんだ……」

「すみませんでした」

「あぁ、いいよ。何のことかわかんないけどな。まぁ、とりあえずあの飛んでるデカい奴を倒そうぜ」

こいつらが何のことを言ってるのか分かんないけど、もしかして基金とかバレたのか?

それは恥ずいな。

あれはいずれ自分が領主になると思ったから打算的にこっそりやってたんだけど……。


だって、いずれ公開したらカッコいいだろ?

死ぬときとか、後継に引き継ぐときとか。



「すみません。姉があまりにも悪辣だったので、つい報奨金を上乗せしようとしてくれていたこととか、言っちゃいました」

「!?」

恥ずい奴だった~~~~~。


いや、ここで慌てる方が恥ずかしいな。

ここは冷静に。

たいしたことないぜって感じで振る舞うんだ、ラクス。

俺ならできるだろ!?



「シファ様を責めないでくれ、ラクスさん」

「そうだ。俺たちが無知だったんだ」

「こんなにも私たちのことを考えてくれていたラクスさんやシファ様のことを知らなかったなんて」

「責めるなら俺たちを責めてくれ!」

無理でした。

やめてくれ。唐突に涙腺を攻撃しないでくれ!


「あぁ~もういい。とりあえず、あれを倒してくるから、みんな逃げてろ!」

「さすがにラクスさんでもそれは聞けねぇな!」

「俺たちだって戦うぜ!そのために残ったんだ!」

「そうだ!ラクスさんだけカッコよく死のうなんて許さねぇ!」

これきっと勘違いしてるよな?

俺はカッコよく死にに行こうとしてるんじゃねぇんだよ。


深層を生き延びた俺はあれくらい倒せるから言ってんだけど、こいつらに今なにを言っても無駄そうだな。


「うるさい!アレを落とすから巻き込まれんなって言ってんだよ!もういい。行くぜ!」

冒険者たちの説得を諦めた俺は、持てる魔力を解放し、展開する。




「すっ、すげぇ魔力だ……」

「もしかしてドラゴンよりも強い?」

「少なくともあのドラゴンよりラクスさんの方が圧が強い……」

「これ、本気で離れた方が良いんじゃないか?」

「全員移動だ!門の方に走れ!」

「「「「「はい!ミシェールさん!」」」」」」

ナイスだミシェール。さすがに状況をよくわかってるな。

深層を切り抜けた俺がどれくらい強くなってるかは知らないだろうけど、俺の態度で判断してくれたんだろう。




「ラクスさん。ありがとうございます。その……気を付けて」

そして、最後まで残ったのはシファ。

強情な娘だね。


まぁいい。


こいつはずっと俺を信じてくれてたみたいだしな。




「あっ……」


お礼も兼ねて、シファを抱きしめ、あたまを撫でてやる。


「ありがとな、シファ。信じてくれて」

「はい……あぁ……」


真っ赤になったのが可愛くて、その額にキスを落とす。


子供だと思ってたんだけど、半年の間に成長したのは俺だけじゃなかったな。



「行ってくれ。さっきお守りに魔法を充填しておいたけど、できるだけ離れてくれた方が安心する」

「わかりました。私も門の方に行っています」

「あぁ。あとはアレを落としてから話そう」

「はい。待っています」


笑顔で行ってくれた。



それを見送ってから、俺は魔法で浮かび上がる。


さぁ、覚悟はいいな。トカゲ野郎。


浮かび上がった俺はドラゴンの目の前まで行く。

巨大な目に浮かび上がるのは、笑えることに戸惑い、そして恐怖だ。


当然だな。

こいつは今まで誰かに蹂躙されたことなんかないだろう。

常に強者であり、常に勝ってきた。

そんなやつが地上にいるちっぽけな生物の魔力でずっと沈黙させられていたんだ。


驚くだろうな。

いや、驚いただろうな。


でも、相手が悪かったんだ。

深層ではお前クラスの敵がうじゃうじゃいたぜ?

なぜか深層から下層には来れないみたいだったが、お前はイレギュラーか?


下層に沸いちまったんだろ?

だから敵なしだっただけだ。




出て来た先に俺がいたのが運の尽きだったな。



グルォォオオォォォオオオオオォォオオオオオオオオオオ!



おぉ?この期に及んで良い気合だな。



さっきの赤いブレスを放ってきたから、弾き飛ばす。

悪いな。それを喰らってやるわけにはいかない。



弾き飛ばす方向には注意を払ったぜ?

街に落としたら不味いからな。弾いたブレスは球状になって門のはるか向こうに飛んで行った。




じゃあ、サヨナラだ。








『エクリプス』

お読みいただきありがとうございます!

おもしろかった!と思っていただけた方は、ぜひ↓下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価を★★★★★に変えて頂けたら作者が飛び上がって喜びます!(面白かったと思って頂けたなら★★★★★、つまらなかったら★)


18話位の完結予定です。完結までお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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