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第12話 嘘の発覚②(シファ視点)

ギルドには冒険者以外は残っていなかった。

好都合だったので、私たちはミシェールの指揮の元、ダンジョンの入り口になっているギルドの地下を埋めていく。

念入りに。


オークキングやエルダーウルフよりも強力なモンスターが出てくることが分かっているため、地下の入り口を埋め、地下と地上の間の階段も破壊し、さらにギルドの建物も破壊して埋めるつもりだ。


ミシェールから確認をされ、私は領主館に来た。

来たと言っても、ギルドから領主館は目と鼻の先。間に数件しか建物はないのだが。

もともとダンジョンを中心に発展した街だから当然だ。



「そうか。それほどのモンスターがおったか」

「はい」

お父様は思い悩みつつも覚悟はしていたようだ。


「待ちなさい。それは本当なの?そこまで念入りに壊す必要があるとは思えないわ。もしそれで何もなかったらどうするの?」

そして姉もいた。

私はまだジキルが逃げたことを話していない。


報告したのはオークキングとエルダーウルフが現れたがミシェールが目を覚まして倒してくれたこと。

オークキングたちはスタンピードのボスではなかったことだけだ。


「オークキングよりも上位のモンスターが来る。それは3年前のスタンピードよりも恐ろしいことだ。致し方あるまい」

何もなかったら復興するだけなのに、この姉は何を言っているの?

私はそう思ってしまったが、お父様は諭すように語りかける。

 

「お父様は休んでいただけだからわからないのですわ。この3年、ようやくここまで復興したのに」

しかし姉は納得しない。私たちの知らないところで、努力はしていたのでしょう。

もしかしたら行方の分からないお金は復興のため?


「エランダ。諦めなさい。これはダンジョンによって発展した街の宿命だ。モンスターから逃げることはできん」

「しかし!?」

「私が行こう。現場の判断を求められているのだろう」

なおも抵抗しようとする姉だったが、お父様は時間が惜しいと言わんばかりに話を打ち切り、衛兵の介助のもと、ギルドに向かった。




「領主様!」

お父様と共にギルドに行くと、冒険者たちが気付く。


「避難してください、領主様」

「ここは危険です。いつモンスターが出てくるか」

「みなが頑張ってくれている間ずっと寝ておったのじゃ。それなのにただ逃げるなどできるわけがない」

「領主様……」

お父様は領民から慕われている。

ずっと街を発展させてきたから。

スタンピードで大切な妻と息子を失った、同じ痛みを持つ相手だから。


「ミシェール君。目覚めた直後に戦ってくれたと聞いた。感謝する。無事で良かった」

「子爵様こそ、お身体は大丈夫ですか?」

「あぁ……。君たちにも、娘たちにも負担をかけたようだ。すまんな。それで、どうだ。やはり埋めるしかないか?」

「はい。ラクスが居ればとは思いますが……そもそもラクスは?」

お父様とミシェールが揃って姉の方を向きます。


「彼は外出していて……」

そんな視線を受けて、姉はなおも嘘をつこうとしています。

信じられない。

この場で嘘をついて何になると?

私は黙っていられず、叫んだ。

 

「嘘です!」

「シファ!」

姉が私の言葉を遮ろうとしたのか、大声を出しながら睨んできますが、そんなのはもう怖くない。

 

「なんですか?なぜ言わないのですか?裏切って追放したと!」

「なに?」

「えっ?」

私の言葉を聞いたお父様とミシェールは当然驚きます。


「シファ。私は裏切ってなどいないわ!」

「冒険者として行方不明になって半年で推定死亡扱いでパーティーの権利が譲渡されるのは規則なので当然です。でも、それを街の住民としての死亡にすり替え、個人資産を勝手に婚約者として相続したうえに彼の市民権を剥奪、死亡扱いで婚約破棄までしたことが裏切りででなくて何だと言うのですか!?」

「くっ……シファ……調べたのね?」

「なっ……」

「まさか……」

私は一息で言い切った。許せなかったから。こんなのはあんまりよ。

そしてお父様とミシェールは唖然としている一方で、姉は私を睨みつけたまま。



私たちが姉を責めるように言い合っていると、冒険者たちも加わって来た。

怒りを抱えた彼らは領主の前ではあるが、止まらない。

 

「エランダ様。ミシェールさんから、ラクスが……いや、ラクスさんが罠を踏み抜いたことも嘘だと聞きました。踏んだのはジキルで、ラクスさんは庇っただけだと」

「……」

姉は答えない。


「どうなってるんですか?モンスターの討伐報奨金もケチっていたのはラクスで、エランダ様とジキルが元に戻すって言ってましたよね?でも、シファ様は報奨金を出さなかったのはエランダ様で、ラクスが建てた基金からしか出ていなかったと」

「……」

もう何も言えないのでしょうね。


「どういうことですか?もう何が本当で何が嘘なのか?なにか言ってください、エランダ様!」

「……」

あのライラですら姉に迫っている。


「このスタンピード討伐はジキルとクレアが指揮をとるって言いましたよね?2人ともさっさと逃げたんですが、どうなっているんですか!?」

「なっ……?」

そしてこれは衝撃だったようだ。姉の表情が一気に崩れる。


「ジキルが……?どこへ?」

「知りません。私がダンジョンに入った時にはすでに逃げ去っていましたから、オークキングたちを倒すのすらジキルは見ていないと思うわ!」

狼狽した声にミシェールが答える。


「そんな……彼は……父親なのよ?」

「……」

そして絞り出した言葉に今度は周囲が黙ってしまう。


「どういうことじゃ?父親じゃと?誰のじゃ?まさかお前のお腹に……?」

「……」

まただんまりだ。

都合が悪くなればすぐにそれ。








お読みいただきありがとうございます!

おもしろかった!と思っていただけた方は、ぜひ↓下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価を★★★★★に変えて頂けたら作者が飛び上がって喜びます!(面白かったと思って頂けたなら★★★★★、つまらなかったら★)


18話位の完結予定です。完結までお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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