第四章 嫉妬(3)
加代が指導役を務めている新入りの高校生は、加代と同い年ということもあり、他の店員以上に親しくなっていた。同じ時間に仕事が終わることが多く、二人で一緒に帰る姿を何度か見かけたことがある。
「はい、これチョコ。昨日のお礼ね。」
「ありがとう。あの店、美味しかったね。また行こうね。」
加代が後輩アルバイトに菓子を渡しているところを目撃した。会話の内容から察するに、昨夜、仕事が終わった後に二人で新宿駅近くのレストランで食事をしたようだ。仕事中も楽しそうに話している二人の姿を見て、私は無意識のうちに加代を見つめていたらしい。ふと、加代とおそらく洒落たレストランに行ったであろうその学生バイトと目が合った。慌てて目をそらしたが、彼は怪訝そうな表情で私を見ていた。
ある日、加代が突然休みを取った。店に「体調が悪いから休む」と連絡があったそうだ。この日は日曜日で、店も平日より忙しく、仕事に慣れた加代がいないのは痛手だった。忙しい日曜の営業を終えて家に帰ると、私はヘトヘトだった。この数週間、休みがなかったこともあり、家に着くなり泥のように眠りについた。
翌月曜は、久しぶりの休みだった。やるべきことが山ほどあった。洗濯や掃除、それに多少の買い出しも必要だ。せっかくの休みだから、充実した一日を送りたいと思い、疲れた体に鞭打って動いた。
昼までに掃除や洗濯などの家事を終えて、買い物に出た。街の洋品店を巡ったり、本屋に寄ったりと、久しぶりに気分転換を楽しんだ。
帰りがけにスーパーで買いだめ食品を買って家に戻ると、すでに日が暮れ始めていた。簡単な夕食を作り、お酒を飲みながら食べていると、ふとテレビドラマの中のカップルの姿に加代を思い出した。
加代は、あの調理スタッフの誘いを受けたのだろうか……。




