第三章 歓迎会(5)
突然の加代との出会いに、私は戸惑った。未成年の子を部屋に入れるわけにはいかないし、このまま放っておくこともできない。心の中では、どうするべきかと葛藤しながらも、冷静を装って声をかけた。
「タクシーなら乗れそう?」と尋ねるが、加代は黙っている。「近くのファミレスで休む?」と言っても、何の反応もない。焦りを感じながら、「駅とか、もう少し明るいところで涼む?」と提案するが、彼女はただ俯いたままだ。
自分が少し酔っているせいもあって、いい案が浮かばない。無意識のうちに「家くる?」と口走ってしまった。言ってからすぐに後悔したが、加代は小さく「うん」と頷いた。もう後には引けない。彼女をこのままにしておくわけにはいかないと、自分に言い聞かせながら家に連れて行くことにした。
部屋に入ると、加代は落ち着きなく部屋の隅に座った。私は心配そうに「大丈夫?」と声を掛けるが、彼女は「少しは」と答えるだけ。心配が募るが、なんとか彼女を落ち着かせようと努めた。「酔いが醒めたらタクシーで送るね」と言ってみるが、返事はない。
自分も多少酔っていたので、加代と同じ部屋にいると、正直なところ、自分を抑えられるかどうかに自信がなかった。変な気を起こさないように、できるだけ普段通りの行動を心がけた。玄関口で部屋着に着替え、冷蔵庫を開けると、以前買っておいた炭酸飲料があったので、「酔い覚ましに」と加代に渡した。それから台所の洗い物をして、台所まできれいに洗った。珍しくお湯を沸かして、お茶を入れて飲んでみたが、気持ちの落ち着きは得られない。
加代をちらりと見ると、彼女は炭酸飲料に手をつけず、大人しく座っていた。「大丈夫?」ともう一度声を掛けると、彼女は小さな声で「眠くなりました」と言った。その言葉に、どうすればいいのか分からないまま、沈黙が流れる。
再び「本当に大丈夫?」と尋ねるが、加代は「大丈夫だと思います。今日は歓迎会で遅くなるって言っておいたし、先輩はいつも帰りが遅くて、帰ってもすぐに寝てしまうので」と、私の期待する質問とは違う答えを返してくる。何とか酔いを醒まそうと試行錯誤したが、彼女が「もう、眠いです」と言ったので、困惑と焦りが入り混じる中で私は観念せざるを得なかった。




