第二章 出会い(4)
ある日、私の学生時代の友人が東京に来ることになり、私の家に泊まると言うので、その日は店を早めに上がることにした。新宿駅で二十三時に待ち合わせをすることになっていたため、二十二時半頃に店を出て、待ち合わせ場所へ向かっていた。
駅に向かう途中、ふと目の前に女性が二人の男性に囲まれて話をしているのが目に入った。すれ違いざま、その女性に目を向けると、それが加代だった。彼女は困ったような顔をしており、どうやらナンパされていたらしい。酔っ払った二人の男性は、相手が未成年だとは気づいていないのだろう。
「お待たせ。」私は自然な口調で加代に声を掛けた。加代は私の顔を見て、少し安心した表情になった。「探したよ。」と続けると、男性たちは状況を察したのか、恐縮して去っていった。
「ナンパされてたの?」と尋ねると、加代は「そうなんです。酔った人たちだったから怖くて、どうしていいかわからなくて…」と答えた。
「無視して歩き続ければよかったんだよ。立ち止まって話を聞いちゃうと、相手も必死に誘おうとするからね。」
「本当に怖かったです…」
「じゃあ、駅まで一緒に行こうか。」新宿は夜でもネオンが明るいが、少女が一人で歩くにはやはり危険な場所だ。私は加代を駅まで送り届け、それから友人との待ち合わせ場所へ向かった。
久しぶりに再会した友人に、加代を助けた話をすると、「お前、ヒーローだな」と茶化された。
加代は、美人というわけでもなく、特別可愛いわけでもない。普通の少女だ。身長はおそらく155cmくらいだろう。丸顔なのでぽっちゃりしているように見えるが、全身を見れば実際は痩せていて、大人びた印象を与える。それでも、彼女が仕事をしている姿には、懸命に努力している様子が感じられ、その素朴さと純粋さに惹かれるものがあった。




