第一章 再会(1)
第一章 再会(1)
久しぶりに仕事が早く終わり、職場の後輩と酒を飲んで自宅の最寄り駅に着いたのは、すでに十二時を回っていた。
四十歳を目前にした私には、十一月の冷たい風がコートなしでは骨身に染みる。
自宅までの十分弱の徒歩に備え、体を温めるために駅前のコンビニに入った。翌朝の朝食の買い物も兼ねている。
新宿から三十分程度のこの駅は、家族向けの住宅が多く、駅を少し離れると深夜に営業する店がほとんどない。そのため、この駅前のコンビニが御用達だ。
レジに立つ店員は、近所に住む大学生だろう。時々見かける彼は、いつも無愛想で少し気に障る。深夜のアルバイトだろうから仕方がない。
「465円です。」
私は、店員に代金を渡しながら、店の外に目をやった。終電を降りたであろう人々が、店前を足早に通っていく。その中で、店の前で店内を見つめる女性が目に入った。
「おつりです。」
上の空になる私に、店員が不機嫌そうに声を掛けたので、慌ててお金を受け取った。品物を受け取ってから店の外を見ると、外にいた女性の姿はなかった。
私は、店の外に出て、女性の居た場所に寄った。彼女は街灯の下に立っていたのだろうか、薄明かりの中でその雰囲気が見覚えのあるように感じた。二十代後半くらいだろうか。ベージュのロングコートと肩まで伸びた黒いストレートの髪が、静かな夜の街に清楚で上品な印象を与えていた。
その雰囲気に、どこか見覚えがある気がした。
服装や雰囲気から考えると、私の十歳くらい年下だろうか。
自宅までの道すがら、その女性が誰なのかを考えていたが、結局、思い出すことが出来なかった。




