騒がしい学校生活。
ー登校時にて。
「愛希おはよー」
「おはよう舞香。うん天使」
「えへへ」
うん天使だぁ!!
「今日放課後遊ばない?」
うわーめっちゃ嬉しいけど
「ごめん今日予定あるんだよね」
「…そっかそっか。うん、分かった」
「また今度な。次は俺から誘うから」
「うん!」
ほっ。悲しい顔させるの辛すぎたわ。
「予定ってなに?」
次は目からハイライト消えるんですね。
「えっと美月さんと夕ご飯食べに行くんだ」
「なんだ美月おばさんね。もー心配しちゃった」
美月さんは俺の母の妹で、俺の叔母だ。
俺の両親は俺が小学生に上がる前に交通事故で亡くなった。
祖父母は老人ホームに入っているため、俺の事を引き取れるのは美月さんしかいなかった。まぁ引き取る気しかなかったらしいが。
「珍しいね。美月おばさん忙しいから」
そう。珍しい。美月さんは日々仕事に追われている。
なんでも大企業の中間管理職だ。中間が1番大変そうだし。
「なんとか予定取れたらしい」
「そうなんだー」
「まあ埋め合わせするからさ」
「はーい」
拗ねてる姿も天使やん。はぁ天使。
ー学校に着いた。
「おはよー白国さん」
昨日に懲りずにチャラ男が舞香に絡んできた。
「…おはようございます」
「ついでに黒沼」
「ついでってなんだついでって」
こいつイライラするわ。
「こらーやめなよ」
昨日のインスタ交換した可愛いギャルがきた。
「関係ないだろお前」
「言い方ひどくなーい?」
「おはようえっと如月さん」
一応挨拶しとこう。可愛いし。
「おはよー黒沼くん。如月じゃなくて六美って呼んでよー」
「じゃあ六美さんで。俺の事は愛希って呼んでください」
「白国さんもおはよー」
「…おはようございます」
実は舞香は人見知りだ。そんな所も可愛い。
「あと敬語もやめてタメ口で話そうよー」
敬語は俺のポリシーだ。女の子には敬語で。
まぁ可愛いギャルにお願いされては断れない。
「うい」
「てか席前後だねー」
これは運がいいな。可愛い子たちにサンドイッチされている。うん、実にいい。
「よろしく六美さん」
「うん!よろしくねー愛希くん」
チョンチョン。後ろから背中をさされる。
後ろを振り向くとまだチャラ男に絡まれていた舞香と目が合った。これは助けてあげなくては。
「自販機行こうぜ舞香」
「うん!じゃあね、えっと青木くん」
「あ、俺も行ってもいい?舞香さん」
このチャラ男図々しすぎるだろ。嫌がられてるの自覚しろよ。
「えー私も行きたい愛希くん!」
「じゃあみんなで行くか」
「…うん」
ごめん舞香!しょうがないんだ。だって可愛いギャルだもん。チャラ男こと青木だけ断るのも可哀想だろ。青木だけ断ったら泣いちゃうだろ。
「ちゃんと守るから」
舞香にだけ聞こえる声で言う。
「うん!じゃあはい」
「おぉう」
舞香が手を握ってきた。どうやら手繋ぎを希望のようだ。
まぁ週に半分は手を繋いでいるから慣れてるけど。
いや慣れてないかも。幸せで笑みが溢れてる。
「えっと愛希くんと白国さんって付き合ってないんだよね?」
「当たり前だろ六美さん」
鋭い視線に目を向けると恨めしそうな目をしている青木と、なんだか怒っている舞香と目があった。
「ちょっとスキンシップがすぎるくないか?」
青木に言われる。
「これくらい普通だろ幼馴染だし」
許さないぞ。そんな事言うな。なんならもうちょっと激しめのスキンシップしたい。
「そーだよね幼馴染だよね愛希」
「お、おう?」
なんか舞香さん怒ってる?でも手は離さないらしい。
「じゃあ私も繋いじゃおっと」
「おぉう」
六美さんも空いている方の手を握ってきた。
あれ?これ両手に花ってこと?!?!
「ふふふ」
思わず笑ってしまう。
「…愛希のバカ」
舞香がボソッと呟いた。