表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

引退した競走馬|心のぬくもり幻想舎

作者: 大野ちはる


「この子は半年前まで競走馬として活躍していたんです」


広々とした丘の上には、新緑をついばむ一頭の馬と、そばで寄り添うように立つお姉さんがいた。


私はその馬を見つめながら、“競走馬”という聞き慣れない言葉に首をかしげる。


すると父が「たくさんの人のために走った馬のことだよ」と答えてくれた。


「もう走るの飽きちゃったの?」


友達のユウくんはかけっこが大好きだって言ってたわ、とまだ数少ない比較対象を持ち出して、馬の世話をしているお姉さんに問いかける。


「走ることは今でも大好きよ。でも、みんなのために走りすぎて疲れてしまったの」


「ふぅん」


「でもね、本当は人を乗せることは大好きな子なの。だから、たまには小さな子供を乗せる体験を行っているのよ」


優しいお姉さんの眼差しに答えるかのように、馬はゆっくりと首をもたげる。


「撫でてもいい?」


「ええ、もちろんよ」


ゆっくりと触ってあげてね、と私の手を取って馬の顔へと近付ける。


艶やかな毛並みが太陽の光で輝いていて、あたたかかった。


               fin.


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


ご覧いただきありがとうございました。

こちらでは毎週月曜日に、1分ほどで読める短編小説を2本アップします。


日々をめまぐるしく過ごす貴方に向けて書きました。

愛することを、愛されることを、思い出してみませんか?


ここは疲れた心をちょっとだけ癒せる幻想舎。

別の短編小説もお楽しみに。


前週分はInstagram(@ousaka_ojigisou)に先にアップしています。早く読みたい方は、あわせてチェックしてみてくださいませ。


大野

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ