オタク少女はだらけている
「…!ファーストアルバム!!」
黒髪のボブカットに赤縁眼鏡の少女は自室に籠もっていた。
壁には好きなアイドルグループやアニメキャラのポスターを貼り、本棚には数多ものアニソンのCDやライトノベルが整然と並べられている。
オタク全開な部屋の中、少女はSNSで情報を漁っていた。
そんな中、音楽ゲームに登場し、少女の推しであるアイドルグループのファーストアルバムの発売が決定したという知らせを見つけたのだ。
「初回特典!初回特典は!?」
少女は興奮しながら文章に添付してあるサイトへのリンクをタップする。
「ステッカーかぁ〜!ん〜、でもステッカーはパスかな。…店舗別特典は!?」
画面をスライドしてサイトの下の方へと移動していくと、法人別特典が店舗別に記載されていた。
「オンラインショップはでっかいプロマイド…お店だったら…。」
オンラインショップの下に記載されている特典を目にした時、少女の興奮のボルテージが一気にMAXへと高まった。
「サヤちゃんのキーホルダーと缶バッジ!!??やっっった!!!買う!絶対手に入れる!!」
キャーーーー!!と、興奮の声をあげていると下の階から男の声が聞こえてくる。
「鳴!暇なら手伝ってくんねぇか!!」
やべ、と少女は我に返る。興奮しすぎて声が下にまで響いてしまったらしい。
居候の身であるからには働かなくてはいけない。
…めんどくさいけど。
居候先の駄菓子屋では、店番で無い限りほぼ部屋に閉じ籠もる、中々に怠惰な過ごし方をしていた。
時間があるなら地球のサブカルチャーを思い切り堪能したいのが少女のスタンスだ。
他の星には無かったこの素晴らしい文化、どっぷりと浸かれずにいられるか!!
ただまあ、出動要請もしばらくは来てないし、他のバイトが無ければ時間が余りまくっているのも事実だ。
男の言葉も無視出来ず、少女は部屋を出て、階段を降りた。
「お待たせ〜…兄貴。ボクは何すればいいんでございましょ〜?」