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偽りに塗れたこの世界で。  作者: 朱羽の索夜
偽りの言葉
2/7

自身の核心

…はい。すっごい間が空きました。

すいません。

前回死んでしまった主人公。

今回どうなってしまうのか。

それではどうぞ

「ここは…どこなの?」

弱々しい声でそう呟く。

こんな怯えたような声になってしまった理由は分かっている。

オーマ…『魔王』に、一瞬にして殺されてしまったからだ。

――ここは、どこなのだろう。

周りを見渡すと、暗い、閉鎖空間であることがわかった。

服もいつの間にやら変化している。

銅は、白っぽいシャツに。

脚は黒っぽいスカート。

靴は、紺色のサンダルになっている。

だからといって、脱出できるとは限らないが。

今でも魔王に言われたことが頭の中で木霊(こだま)する。

『魔王の生贄にするために家を出された。』

頭の片隅では、そんなことはないと訴えかける意識がある。

しかし、頭の大部分は霞がかかったように動かない。

ただ、魔王の言葉に対して、そうだったのか、とショックを受けている。

「魔王の…生贄?私は…いないほうが良かったの?」

考えるほどに思考は薄れていく。

しかし、だからといって考えることはやめることが出来ない。

「私より、お兄様のほうが役に立った?お母様とお父様は、最初から、私を要らない子と認識していたの?なら…私は―――私は、約立たず?だから私は生贄に…追い出されたの?」

駄目だ、思考を止めるんだ。そんなことは決してない。

と、頭の何処かが懸命に叫んでいる。

しかし、私の思考は、もう戻らなかった。

「…私のことを、お母様とお父様は、『要らない』って思ったから捨てたんだわ。冒険に出て行かせるって装って…私のことを魔王の生贄にして【捨てた】。私なんて最初から要らなかったんだわ。私なんて…お兄様みたいに、お母様やお父様の、『必要』になんてなれない…だから、私は、最初から生まれてこないほうが良かったんだわ…」

――その時、自分の腰に剣が差さっていることに気づいた。

「…こんなところに、いいものがあるわ。これを使って、すべてを…終わらせましょう。」

私は腰の剣をゆっくりと抜くと、首の近くにあてがった。

「…うふふ…さようなら、世界。」

頬から一滴の涙が零れ落ちた。

首の近くにあてがった剣を、一気に首まで引こうと数セント(センチ)こちら側に引いたところで、

『ガァン』

と、障壁に阻まれた。

驚いて背後を振り向くと、青髪長髪の、紫色の瞳をした一人の少女が立っていた。

蒼のワンピースを着て、裸足でいる。

「あなたは――誰なの?」






暗闇の中にいる少女は笑みを浮かべながら言った。

「私は、貴女の中で生まれた、善意の心。名前は…無い…なぁ。種族は、そうね、『魔法使い』とでも言っておきましょうか。」

少女は今、『魔法使い』と言った。しかし、腰に差さっているものは、杖ではなく、剣だった。

「…貴女、魔法使いなの?腰に差さっているの、剣だけど…?」

「そうね。【種族】が魔法使いってだけね。【職業(クラス)】は、『魔法剣士』って言ったところよ。」

少女が出した新たな情報に舌を巻きながら、私は遅まきながら聞いた。

「なんで…私が死のうとしたところを止めたの?私は、捨てられたのよ?」

私が自殺しようとして数セント引いた剣を拒んだあの障壁。あれはよく見ると魔法陣だった。そして、その魔法陣を誰が出したかなんて、単純明快だった。

「それは…貴女の考えが、間違っていると思ったからね。」

その言葉を聞き、私は、更に疑いの心が出た。

「なんで?魔王は、『生贄にするために出した』って言ったじゃない。だから、私は【要らない】ってことなんでしょう?」

私がそう聞くと、少女は穏やかな声で、

「まず、その魔王の奴から間違ってるわよ。いらないんだったら、自分で殺したほうが早いわよ。万が一、自分より強くなって戻ってきたらどうなるか…」

少女は、まるで実体験のように話すと、軽く身震いをした。

「…そうなの?なら私は、いらないわけじゃ無い?」

「ええ。そうね。」

「そう…」

正直、その言葉を聞いただけですごく安心した。

そして、目が潤んだ。

少女は、何でもお見通しと言わんばかりの顔で両手を広げ、「こっちにおいで。」と優しい声で言った。

私にはそれで――それだけで十分だった。

私の涙腺は崩壊し、子供のように号泣しながら、少女の胸に飛び込んだのだった。








しばらくして、落ち着きを取り戻してきた頃、私は言った。

「貴女…名前が無いんだったわね。その…おかしいかもしれないけど、私が、名前…つけてあげようか?」

それを聞いた少女は、大輪の花のような笑顔を見せて言った。

「いいの?ありがとう。」

そして私は考えた。この少女に似合う名前を。

先程の、大輪の花のような笑顔から、どこかの花の名前をつけようと思っている。

あとは、少女の髪と同じ青い花は…

と、思考を巡らせていくと、ある1つの花の名前が浮かび上がった。

「貴女の名前…【アネモネ】って名前は、どうかしら。名字は…どうする?」

「いいの?そんな名前貰っちゃって。」

少女は、宣告と同じような笑顔を見せ、言った。

「ええ。いいわよ。」

「ありがとう!名字は…まぁ、必要になったら、君のを借りようかな。」

名字が無い状態では、それが1番の最善策であろう。

「ええ。そうね。それがいいと思うわ。あと、私の名前はアリシア。『アリシア・ローレット』よ。」

「アリシア…うん!いい名前だね。ってことは、私は、『アネモネ・ローレット』ってことになるのかしら。」

「そうね。」

「やっぱり、いい名前だよ。アリシア。」

その少女の満面の笑みを見た瞬間、私は、この名前にしてよかった、と思うのだった。

そして少女は、手を出した。

私は、少女改めアネモネと、握手を交わした。













「ねぇ、アネモネって、剣使える?」

私は、アネモネにそう訪ねた。

「うん。使えるけど…それがどうしたの?」

「えっとね…魔王が言ったことが嘘か本当かは分からないけど、私は、あいつを倒したいの。」

魔王への復讐…と言うまではいかないが。

「ふぅん…だから、【職業(クラス)】が『魔法剣士』である私に聞いたんだ。」

「そうね。」

剣を教わるなら、剣士でもあるアネモネに聞いたほうが早いと思ったのだ。

「なら、アリシアは今から、私の弟子って言うことでいいのよね?」

「ええ。」

弟子、という響きはこそばゆかったが、悪くはない、とも思えた。

「修行の道は厳しいわよ?」

アネモネは大袈裟にそう言ったが、もうとっくに覚悟というものは出来ていた。

「望むところよ。」

「…って言っても、まずはアリシアのステータスを見ないと、どこを育てればいいかわかんないよ。」

「あ、そうか。『ステータス・オープン』」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

名 【アリシア・ローレット】

性 女

歳 15歳


lv.2

攻 140

守 133

速 121

魔 0


スキル 【】

魔法 【】


装備

銅 精神の装い(上)

脚 精神の装い(下)

足 精神の靴


手(右)石製の剣

手(左)無し


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


先程魔王に襲われてから何も変わっていない。

「こういう感じ…ね。アネモネは?」

アネモネはどうなっているのかと気になったので、何気なく聞いてみる。

「私?私は…『ステータス・オープン』。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

名 【アネモネ・ローレット】(新)

性 女

歳 16歳

種族 『魔法使い』

職業(クラス) 『魔法剣士』


lv.5

攻 296

守 257

速 283

魔 315


スキル【魔法百科】

・魔法を覚えるのが素早くなる

魔法【炎系魔法】【水系魔法】【光系魔法】

    中級    上級   master!



装備

銅 スペルド・ワンピース

脚 (銅脚一括)


手(右)マインドネトラヴ

手(左)無し


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「こんな感じ…かな。」

アネモネははにかみながらそう言った。

「ねぇ、なんで、名前のところに、(新)って付いてるの?」

明らかに私のところにはついていなかった。

「それは…多分さっき、アリシアが私に名前をつけてくれたからじゃないかしら。名前をつけて貰う前までは、【善意の心】って書いてあったもの。」

善意の心…

「そういえば、ここはどこなの?」

「うーん…多分、ここはアリシアの魂の中だと思うよ。そして私は、魂の住人ってことになるのね。」

魂の…中。

「せっかくだし、名前、つけようか。」

「そうね。」

いつまでも魂の中だと…なんか嫌だ。

暗闇に包まれた空間…でもそれは、私の魂。

「名前…になってるかどうかわからないんだけど…『魂部屋(たましいべや)』みたいな?」

我ながら安直すぎる。

「…結構ストレートだね…」

と、アネモネがそんなことを言うので、私はたまらず、

「うぅ…そんなことは1番私が分かってるわよ…」

と呟いた。

そんな私にアネモネは

「まぁ、いいんじゃない?今からここは『魂部屋』だね。」

と言った。

「えぇ…そうね。」

「それはそうと…剣の特訓をする前にアリシアは魔法を覚えたほうが良さそうだね。」

そんなことをアネモネが言うので、私は、

「え?魔法って、使える人だけの専売特許じゃないの?」

と聞いた。

今まで、魔法は覚えられないものだと認識していた私にとって、覚えられると聞いたときの感情の高ぶりようは凄かった。

「まぁ、アリシアはまだ、炎系魔法ぐらいしか覚えられないだろうけど…そのうち覚えられるようになるよ。」

「そうなの?なら…お願いします!師匠!」

と、私が大袈裟に言うと、アネモネは

「うむ。良かろう。」

というので、二人して吹き出してしまった。











〜数時間後〜

「ぜぇ…ぜぇ…魔法って、意外と神経消耗するね…」

ものすんごく疲れる…一つの魔法を習得するだけで、こんなにも体力と精神を消耗するものなのだと、私は今回、身をもって知った。

「あはは、それはまだまだ魔力が足りない証拠だよ。まぁ、多分さっきので100ぐらいはいったんじゃない?」

と、真剣な表情でアネモネが言うので、

「…アネモネは、魔力が315もあるからね…」

と返す。

先程の特訓で、炎系下級魔法の、『火炎(フレア)』は覚えられた。

多くの魔法は、下級、中級、上級に分けられるという。稀に上級の更に上が発言されることもあるのだとか。どっちにしろ、私には程遠いが。

「よし。あとは、剣の使い方だね。」

…そうだった。まだ剣もあるんだ…








〜数時間後〜

アネモネから剣の基本的な使い方、振り方、体捌きを教わったところで、今度は1対1の立ち合い。

結果は、0勝全敗だった。

「うん。始めたての頃よりかは良くなったよ。あとは細部をちょこっと調整するだけだね。」

…これでもまだ完璧では無いという…

「でも、多分もうちょっとレベルを上げないと、この先はきついと思うよ。だから、一回家に戻ったらどう?ゆっくり休んだほうがいいよ。」

と、アネモネはいう。

「そう?――なら、なら、そうさせてもらうわ。」

「うん。私とは、いつでも『思念伝達(テレパシー)』で話せるからね。ここは退屈なんだ。」

またもや新たな言葉が出てきたが、それはおいておく。

「えぇ。また話せるときは話しましょう。じゃあ、またね。」

と、私はアネモネに別れの言葉を告げる。

「うん。また。」

その途端、私を青白い光が包んだ。





























目を覚ますと、辺りはすっかり暗くなっていた。

場所は、魔王と会ったときと同じ。

近くに魔王はいない。

その時、頭の中にアネモネの声が響いた。

《やあ。さっきぶり。突然なんだけど…左に見える光の方向って…》

と言われ、私は左…生まれ故郷のカムダラ王国の方を向いた。

オレンジの光が遠くに見え、空には黒煙が昇っているのが見える。

「…あれは…火?…っぽいよね?アネモネ?」

《うん。そうだね。そして、あっちの方向は…》

「私の家がある方向。急がなきゃ!」

私は、火が見える方向…そして、自分の家がある方向へ一目散に駆けていった。

…アリシアさんの家が一大事です。

次回、どうなってしまうのか

それではばいなら!

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