天へ昇る
いよいよ、天へ昇っていった美羽。これからどうなるのか!
美羽は天へ昇った……、いなくなった、いや、人間になりるために旅立った。帰ってくるまで待っていよう。
力生は、祖父母にそう告げた。
「じゃあ、美羽が帰ってきたときに寂しくないようにわしらも長生きせんとな。」
こう、明るく告げてくれたのはおばあちゃんだ。
ピーンポーン、ピーンポーン、インターホンが激しくなって、力生は学校へ行く準備をしていたのを思い出した。
急いで準備をして玄関を開けると、訪ねてきていたのは美羽の友達だった。
「美羽のお兄さん、おはようございます。美羽はまだですか?」
何とい言うべきか……
「あぁ……美羽は今日は休みだ。せっかく来てくれたのにごめんな。ありがとう」
美羽の友達は美羽が風邪を引いたと思ったのだろうか。
「じゃあ、放課後、お見舞いに来てもいいですか?」
「いや、それは……困る。美羽はいま、いないから」
「えっ…どういう、」
「ごめん!俺も急ぐから!」
さらに何か言おうとした美羽の友達の言葉を遮って、力生は学校へ走っていった。
美羽の事を友達になんと伝えておけばいいか、本人に聞いておくべきだったなと、力生は思った。
目を開けるとそこは真っ白な場所だった。
「う……ん?ここはどこだ……?おい、力生!いないか?!」
そこでふと思い出した。
あぁ、そうか。私は天に登ってきたんだな。
「おい!天使王。どこにいる?私はこれからどうすればいいんだ!!」
返事はないか。
ふと、周りを見ると天使がたくさんいた。みんな、ある方向へ向かっている。とりあえずついて行くことにした。
「さぁ、みんなよく来たのう。これから君らには人間になるための試練が待ち受けている。今からここに入って、様々な試練に出会うだろう。まあ、達者でな!」
そういったのは天使王だった。どんな試練が待ち受けているのかなんの説明もない、割と適当だなと美羽は思って扉を開いた。
扉を開いて中に入ると、あんなにたくさんいた他の天使は誰もいなかった。そして周りもさっきまでいたところと何も変わらない。不安に思いながらとりあえずまっすぐに進んでみた。
どれほど歩いただろうか?結構時間が経ったように思うが、何も起こらないし、何も変わらない。
ただ歩くだけの試練なのか?なんて思っていたら前から人間が2人歩いてきた。
「美羽ちゃーん、こんにちは、ママだよー」
「美羽ちゃーん、こんにちはこっちはパパだよー」
「生まれてくの楽しみにしてるからね!ママ、早く会いたいなぁ」
「パパも早く会いたいなぁ」
「なんだ、これ……お母さんのお腹の中……?
こんなこと言って、私を捨てたのか?」
「そうじゃ、それはお前の両親じゃ。さあ、試練の始まりじゃ!!」
天使王はこう、高らかに宣言した。
続く