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妹は天使  作者: みなづき
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人間と天使の間

初めて連載にしてみます。続きはまだ書けてません。

 僕の妹は天使だ。天使みたいにかわいい、のではなく、本物の天使なのだ。そして妹は可愛くないと思うほどに口が悪い。僕は妹と父方の祖父母の家で暮らしている。僕はもう17歳で、妹は12歳。妹は父や母のことを覚えているだろうか?

 妹が天使だとわかったのは僕が10歳のとき、赤ちゃんのときは小さくて気づかなかったが、5歳になって背中にはっきりと羽が見えるようになった。妹は両親に気味悪がられた。そして妹と僕に関わらなくなった。僕は何もなかったが、妹と同じだと思ったのだろう。羽が生えている妹を可愛がったのは父方の祖父母だけだ。だから今、祖父母の家で暮らしているわけだ。


「おい、力生(りきお)。羽が出てないか確認しろ」


「口が悪いぞ、美羽(みう)


「うるさい、時間がないんだ。早くしろ」


「鏡で確認すれば?」


「ちっ」


 こんな妹を祖父母は注意しない。こんなので友達と仲良く出来てるかが心配だ



 私は今、学校にいる。兄の力生は私が口悪くて友達とうまくやってるか心配しているのだけど、友達の前では外面だ。


「美羽ちゃーん。今日ね、高校生の人が来るんだってー」


「どうして高校生が?」


「ほら、あの人」


話、聞いてねーじゃないか。って、兄貴じゃん。


「どーも!これから先生の手伝いとして皆の勉強を見ます。天昇力生です。よろしくね」


周りから女の子の黄色い声が聞こえてくる。兄貴……モテモテじゃん。


 そして放課後


「美羽?何してるんだ?」


「お前を待ってた」


「なんでだ?なぜ、力生がうちの小学校へ?」


「先生に勧められたんだ」


「そう」


 静かな道を並んで歩いていたら突然何かが現れた。


「天昇美羽だな。少し、美羽の家にお邪魔してもよろしいかな?」


「あなたは誰ですか?美羽に何の用ですか?」


「ホホホ、怪しいもんではないぞ」


「そうなのか。いいじゃないか、力生」


「おい!!」


「ホホ、ありがとさん」


 まさか、この後、衝撃の事実を知ることになるなんて思いもよらなかった。


「入れてくれてありがとな、美羽」


「………」


「わしは、天使の中の天使。天使界の頂点に立つ天使王じゃ」


 そして始まる、天使王の長い話は……



 天使とは遺体の次じゃ。遺体が天使になるのじゃ。そして天使は修行をし、試験を受け、合格できたものだけが人間になるんじゃ。

美羽はある遺体から進化して天使になった。しかし、お前は体力が弱くてのぅ。なかなか天使から人間になれなかったんじゃ。ちなみに、人間への門という人門(にんもん)があって試験に合格した天使は人門に入り、その中で人間になるんだ。人門に一度入ってしまったら二度と戻れないんじゃ。試験では人門にいる間で人間になる力があるか試すのじゃ。しかし、美羽は合格できていないのに入ってしまったのじゃ。わしらは、ただ、美羽が人間になれるのを祈るしかなかった。

人門の中で大分、力を振り絞ったのだろう。人間には近づけたが完全な人間にはなれなかった。お前は天使と人間のハーフだ。赤ちゃんの頃は羽が小さくて見えなかった。じゃが……生まれたことに安心したのじゃろう。今は力が抜けて大きくなるに連れ、美羽は天使へと逆戻りしていってる最中だ。

いいか、よく聞くのじゃ。いつしかお前は完全な天使になってしまうだろう。羽がしまえなくなったら天使になった証拠じゃ。天使になったらお前は見えない存在になる。


ーじぃやばぁにも力生も私が見えなくなるのか?


 羽があるのを知っていてもお前を愛した三人には見える。しかし、羽があるのを知らない者たちには見えなくなってしまう。

 いいか、美羽。羽がしまえなくなったらその羽を広げて天へと昇るんだ。そうして、お前はもう一度生まれ変わるのじゃ。

 おっと、そろそろ時間じゃ。それじゃあわしはこれで……


 そう言って天使王は中に消えていった。


「美羽、あんな変なおじさんの言う事信じちゃだめだぞ。消えていなくなるとかそんなはずはない!」


「そんなの断言できないぞ。だってあのじぃさんは羽があったし、実際、私だってみんなにはない羽があるんだ。私が、普通の人間と違うということだけは明らかだよ。だったらあのじぃさんの話は信じてみてもいいと思う」


 そう言って美羽は自分の部屋へ戻っていった。

 

 しばらくすると祖父母が日課の散歩から帰ってきた。


「ただいま。力生。帰ってきていたんだな。美羽はまだかね」


「おじいちゃん、おばあちゃん、お帰り。美羽は自分の部屋にいる」


 力生は、今日の出来事、天使王のことを祖父母に話した。祖父母は顔を歪めてとても悲しそうに話を聞いていた。


「そうか、美羽にはそんなことがあったんだな。いつか、また天に昇っていってしまんじゃろか」


「わしらも、その天使王さんと話ができればよかったんじゃが。美羽が一人で抱え込まないでくれるといいがなぁ」


「じぃ、ばぁ、おかえり。力生から話は聞いたか?」 


 美羽が階段を降りながら言う。


「私は天へ昇らなければならないらしい。だが、それはまだ先のことだろう。しばらくは世話になる」


「ばぁは、いつまでいてくれても構わんよ。わしらには美羽のことちゃんと見えるし、生きていけるだろう」


「そうじゃ、ばぁの言う通りじゃ。じぃだっていつまでいてくれても構わんよ。ずっと一緒にいよう。天へ昇ったて、またここに戻れるかわからんのじゃから」


「そうだよ、美羽。おじいちゃんとおばあちゃんの言うとおりだよ。」


 おじいちゃんもおばあちゃんも俺と同じようにずっと美羽と一緒にいたいと思ってくれている。だから美羽のことは天使になっても見ることができる。

 だが、美羽は天に昇ることを心でもう、決めているようだ。


「三人には迷惑をかけるし、心配もかけると思う。それに、友達に見えなくなってしまうのはつらいし、私もできることなら人間として生きたいんだ。できれば、もう一度、お母さんやお父さんにも会いたい。ちゃんと人間になって会いたいんだ。私は人間になれる機会を与えられた。無駄にはできない」


 力生は美羽の言い分もわかるが、何がどうなってしまうかわからない。できることなら今のままがいいと思ってしまう。


「じぃ、力生、これは美羽が決めたことじゃ。仕方ない。人間になって、またここに戻ってきてもらおう。な、また会おう、美羽」


 祖母がそう言うので、力生も祖父も何も言えなかった。


「ありがとう、ばぁ。私は絶対に人間になって戻ってくるからみんな、安心しろ!」


そう言って、美羽は笑って見せた。


 それから一年の時が流れた ある日の朝。

いつものように兄妹は学校に行く準備をしていた。


「力生、羽を入れてくれないか?」


「あぁ……」


「何を手間取ってるんだ。遅刻するだろう」


「入らない……」


どんなにどんなに押し込もうと、羽が隠せなかった。それどころか、羽を痛めつけてしまいそうで力生は、無理やり押し込むのができなかった。


「時が……来たんだな。……力生、世話になったな。もう行かなくちゃ。じぃとばぁによろしくな」


そう言うと美羽の身体は少し浮いた。


「美羽……!」


天井が開き、空が見えて光が差し込んできた。そこに現れたのは天使王。


「さあ、美羽。そのままこちらへ来るんじゃ。今度こそ人間になるために…………」



続く


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