お尋ね者ではありません!
第四部スタートです!
「これで、今日の依頼分はクリアだな」
薬草をかご一杯に集めた私は、汗を拭った。
「みんな、帰るよ」
声をかけると、りゅうたろう達が走ってきた。
「……また、大量だねぇ」
それぞれが狩ってきたお土産を見て、ため息をつく。
もっとも、この辺りには大物がいないらしく、くぅだけは不満そうだったが。
今、私はオパール王国の外れの町に滞在している。
ぎりぎりギルドがある規模の町で、農耕と牧畜が主体だ。
ギルドの依頼も、畑を荒らすワイルドボアの退治や、収穫した作物を食い荒らすマーウの駆除などがほとんどだ。
黒のキャラバンなどのせいで、名前が売れてしまった私は、薬草採取などの依頼をこなしながら、この町に身を潜めているのだ。
「……追われている人みたいだよねぇ」
町の人達も、どうもワケアリらしいと思っているらしく、親しげに話しかけてくれるのはギルドマスターくらいだ。
「戻りました」
「はい、はい。お帰りなさい」
にこにこと笑いながら、小柄なおばあさんが迎えてくれた。
この町のギルドは、このおばあさんが一人で運営している。
元々は、冒険者だった旦那さんがギルドマスターだったのだが、亡くなってあとをついだらしい。
「薬草採取。はい、依頼達成ね」
サインをして、報酬を受け取った。
「今、農繁期で依頼を受けてくれる人がいなかったから、つかさちゃんがいてくれてよかったわ」
このギルドでは冒険者というより、地元の人が小遣い稼ぎに依頼を受ける事が多いようだ。
農繁期には、依頼が滞る事も多いらしい。
おまけに、今年は例をみないほどの豊作で、農家も人手が足りず、普段は薬草採取の依頼を受けてくれる子供達も家の手伝いをしなければならなくなったのだ。
うーん。それにしても、女神様の加護って凄いんだな。
まぁ、これでよつばが食い散らかした分はどうにかなったかな……。
よつばは、くりんと首を傾げてみせた。
「にあん?」
もう勝手に食べたらダメだからな!
本当に、お尋ね者になってしまう……。
本日より、第四部スタートとなりました。
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「うなぁぁぁおぅぅぅ!」
「くぅ、それはダメだ! それは!」
「くぅさん、そ、それはさすがにアウトだと思います……」




