噂と真実。
「そんな、くぅさんが……!」
はい、はい。お約束のアレですね。
「魔王モード! 見たかったです……!!」
女神様。
猫達を止めるために、私の転生に手を加えた事を忘れてませんかね?
「お茶、入ったよ」
お稲荷さんにお土産としてもらった緑茶を入れ、お団子も用意した。
「それにしても、つかささん、有名人になってしまいましたね」
はぐはぐと団子を頬張りながら、女神様は呑気にそう言った。
「……」
不本意だが、確かにそうなのだ。
おかしいな、ギルドには口止めしておいたはずなのに……。
「真珠国の御神体を取り戻し」
詳しくは言えないとか言いながら、お稲荷さんがぺらぺら話したらしいからな!
「黒のキャラバンを捕まえて」
隊長さん、どこから情報仕入れているのかな……。
「エルフの長の娘を助けて、虹雲を孵化させて」
孵化するのを間に合わせただけ!
「魔導の塔を壊滅させて」
エルフって、口が軽かったのな!
「盗賊達は、黒の魔王には手を出すな、が合言葉になったらしいですよ」
……それには同意する。
「あと、どこかのギルドでは、猫を連れた冒険者が来たらすぐに臨時休業にするとか」
……ギルドマスター、またお邪魔しますね?
いや、本当に噂というものは広まるのが早い。
それに、噂のはずなのに、ほぼほぼ真実なのはどうしてだ……。
私はためをつくと、団子にかじりついた。
「そういえば、今回、神様がからむ事なのに、ほかの神様って何もしてくれなかったね」
猫神様も、私を紹介しただけだし。
「ほかの神様に、干渉したらダメなの?」
私の言葉に、女神様は困ったような表情になった。
「今回は特殊といいますか……」
「?」
「真珠国の神は私達とは違う存在ですし、エルフは神ではなく、自然そのものを信仰しているので」
手の出しようがなかったんですよね、と言って、女神様は五本目の団子を食べ始めた。
なるほど。
神様にも、いろいろあるって事か。
……黒のキャラバンは、それを知っていて狙ったのか?
それとも、魔導の塔がそう仕向けたのか?
んー?
「つかささん、もうお団子食べないんですか?」
「食べます!」
何で、ジト目なんだよ!
女神様、自分の分はもう食べたでしょうが!
これにて、第三部終了となります。
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