翡翠の森。
キングがぱちっと目を閉じると、私達は森の中に移動していた。
「この人数で、あの距離を……?」
驚くのは、あとにしなさい!
「みう、精霊樹の泉は?」
「この森を抜けた所!」
そう言いながら、みうは走り出した。
私達も、あとに続く。
木のてっぺんに、太陽が隠れ始めた。
ここから、日没はあっという間だ。
木の根が張り出していて、走りにくい!
「ダメだ! 日が落ちる!」
仕方ない。
「ごめん! あとで、ちゃんと謝る!」
「つかさ?」
「福助、まっすぐ『風魔法』!」
「にゃ!」
いつものように、全力で福助が風魔法を放つ。
めきめきと音を立てて、木々がなぎ倒されていく。
視界が開けた先に、きらきらと光る泉が見えた。
少し遠いけれど、まっすぐだし、的も大きい。
よし、いける!
私は虹雲の卵を手に持った。
ボール投げ レベル8発動!
「いっけぇぇぇ!」
「えー!?」
虹雲の卵を思い切り投げた私に、みう達が呆気にとられている。
ぼちゃん、と卵は泉に落ちた。
同時に、完全に日が暮れた。
そして。
暗くなっていく周囲とはうらはらに、泉は虹色に輝き出した。
「間に合ったぞ!」
「卵が孵化する!」
エルフ達が、喜びの声をあげた。
よかった、間に合った。
「つかさ、ありがとう」
「あー、なんか、ごめん」
大事な卵を投げてしまったし。
なにより。
なぎ倒された木が、重なりあって倒れている。
大惨事だ……。




