再会。
うん、ヒマだ。
真珠国でキャラバンの痕跡を探り続けて二週間。
ほとんどのルートが交わる場所を見つけたのはいいのだが。
「何にもないよね、ここ……」
見渡す限りの大草原。
せりに「気配察知」のスキルを使ってもらいながら、ずっとこの辺りをうろうろしているのだ。
広いんだよ!
黒のキャラバン、はよ出てこんかい!
理不尽にキレながら、今日で三日目だ。
りゅうたろう達は、たまに見かける魔物を狩って暇潰しをしている。
だから、くぅさんや、ワイバーンを単独で狩るのはやめてくれ……。
あまりにヒマなので、今日はドラゴンも散歩に出してある。
「眠くなってきた……」
ヒマすぎる。
せりが、ぴくっと動いた。
やっと来たか!?
せりは全身の毛を逆立て、牙をむき出しにしてうなっている。
この反応は……?
黒のキャラバンにしては、大げさすぎる。
「りゅうたろう、大きくなって」
大きくなったりゅうたろうの背中に、せりと一緒にしがみつく。
最近は慣れてきて、少しの距離なら酔わなくなった。
……まぁ、乗り心地がいいかと言えばアレなのだが。
「せり、『隠密』」
りゅうたろうごと姿を消し、せりが反応している方向へ向かう。
「……?」
何やら、声が聞こえてきた。
これは、怒鳴り声……?
「!」
キャラバンを、フードを被った集団が取り囲んでいる。
盗賊か!?
いや、違う。
キャラバンが、髪の長い女の子を捕まえている。
取り返そうとしているのか?
「あれは……」
キャラバンの男が手にしているのは。
あの、鎖のついた首輪は。
女の子が、こちらを見た。
「つかさ!」
「みう!?」
魔導の塔の地下に囚われていた、エルフの少女。
「とおみ」の力を持っているみうだった。
そのせいか、せりが「隠密」を使っているのに私達の姿に気づいたようだ。
「助けて!」
「言われなくても!」
おそらく、やつらが黒のキャラバンだ!




