第二の猫、参上! って、逃げるな、こら!
「あれがオパール王国か」
ゆっくり休みながらでも、2日半ほどで目的地に到着した。
やはり、私の身体能力もあがっているようだ。
手のひらサイズになったりゅうたろうは、私の肩の上でご機嫌だ。
大きくなってからは、なかなか肩に乗せたままにしておけなかったから、嬉しくて仕方ないらしい。
「ここにいるのは、よつばなんだよねぇ……」
近くまで来れば、猫の気配を感じ取れるようだ。
一応、私がテイムしている事になっているからだ。
「よつば、大丈夫かな……」
ほかの猫達とは違い、どうやら捨てられたらしいよつばは、人間が苦手だ。
オパール王国は農業が盛んな、わりと平和な国らしいので、あまり危険ではなさそうだが。
「とりあえず、行ってみようか」
って、なんだ、この騒ぎ!?
「どこ行った!?」
「何で入れるんだよ、二重結界なのに!!」
騎士団や冒険者らしき人達が右往左往している。
「また、食い尽くされたぞ!!」
あ、よつばだ、これ。
捨て猫だったよつばは、異常に食い意地がはっている。
カリカリの袋を食い破って食べ散らかし、脱走した時は自分で戸を開けて帰ってきた。
おまけに、よつばに与えられた能力は「解除」。
どんな鍵でも結界でも解除してしまうのだ。
……なんて事してくれたんだ、女神様!!
建物の影から、茶色と白の、毛の長いもふもふの猫が顔をのぞかせた。
「よつば!!」
思わず大きな声で名前を呼ぶと、よつばははっとした顔をした。
悪い事をした、と自覚がある時の顔だ。
よつばは猛ダッシュで、走り出した。
……私とは反対方向に。
逃げるな、こら!!