お稲荷さん。
「うう、食べ過ぎた……」
お腹が苦しい。
まだ、食べたいものがたくさんあったのに……。
まぁ、急ぐ用事もないし、しばらく真珠国に滞在してもかまわないだろう。
温泉もあるらしいし、楽しみだ。
「ん?」
赤い鳥居が、目に入った。
神社があるのかな?
「お参りしていこうか、りゅうたろう?」
鳥居をくぐると、石造りの階段が上に伸びていた。
うん、腹ごなしに丁度よさそうだ。
木に囲まれた階段を登ると、狐の像が立っていた。
「へぇ、お稲荷さんもいるのか」
不意に、せりがキャットハウスから顔を出した。
ぴくぴくとひげを動かしていたが、すぐにハウスに引っ込んだ。
……ここの神様の気配でもしたのかな。
こじんまりとした、けれど、しっかりと手入れされている社が立っていた。
「猫達が、元気でいますように」
ついでに、何もやらかしませんように……。
「もしかして、相田つかささんでいらっしゃいますか?」
「あ、はい」
声をかけられて振り向くと。
「…………」
狐が座っていた。
「良かった。こちらに来るとお聞きしたので、ずっとお待ちしておりました」
「はぁ……」
誰から聞いたの?
待っていたって、何で?
お稲荷さん、ですよね?
ダメだ、突っ込みどころが多すぎる……。




