キャラバンの積み荷。
先頭を私と猫達が、しんがりをサナ達がつとめる事になった。
せりがいれば、魔物や盗賊が襲ってくる前に分かるし、大きくなったりゅうたろうがずんずんと歩いていれば目立つ。
これで厄介事も減る。
そう思ったのが甘かった。
「福助、『風魔法』!」
「にゃ!」
魔物は寄って来なかったが、約十日の道のりで二度も盗賊に襲われた。
一度目は撃退し、二度目はそのほとんどを捕縛した。
紐でぐるぐる巻きにし、さらに大きくなったりゅうたろうにその紐を繋いで盗賊どもを歩かせた。
その後は、キャラバンを襲撃してくる連中はいなかった。
多分、手を出すとヤバい連中だと認識されたのだろう。
「それにしても、なんだろうね、こりゃ」
サナが呆れたように言った。
「このキャラバン、よっぽどのブツでも積んでるのかね」
「盗賊が多すぎるよね」
元々、香辛料や砂糖、絹などを運ぶ事の多いキャラバンは盗賊に狙われやすい。
商会の荷馬車と違って、家族なども同行しているから移動の速度も緩やかだ。
それにしても、多すぎる。
「……せり、『気配察知』」
こっそりとせりに探らせてみたが、特に反応はない。
積んでるいるのは、ごく普通の交易品のようだ。
「……噂が出回っているんじゃないか」
ぼそりとナルシが言った。
「噂?」
「このキャラバンに、お宝が積んでるという噂だ」
「え? 積んでるのかい?」
サナの言葉に、ナルシがため息をついた。
「本当に積んでいたら、最初からもっと用心するだろう」
「つまり、事実はともかくとして、盗賊の間でそんな噂が出回っているって事……?」
街までは、あと三日で着く。
ギルドに盗賊を引き渡せば、何か情報を聞き出せるかもしれない。
まぁ、私はそこまでで護衛は終わりなんだけど……。




