囚われ人。
いやー、派手にやってるなぁ。
福助は風魔法で部屋をめちゃくちゃにし、くぅは水魔法で水浸しにしている。
りゅうたろうが叩き壊した変な形をした壺から出てきた怪しげななにかは、よつばが解除した。
……なんか、向こうの世界を思い出す。
「ふすまとか、ぼろぼろにされたっけ……」
ん?
そういえば、こんなに部屋を荒らしているのに、壁には傷一つついていない。
「魔法で造ったレンガとかなのかな……?」
それにしても、こんなに派手に暴れているのに、誰一人来ないとは。
おそらく、どこかで罠でも仕掛けて待ち構えているのだろう。
さて、どうするか。
「上に行くか……?」
悪い奴は、大体高い所にいるものだ。
しかし、悪巧みの仕掛けは、何故か地下にあったりする。
どちらを優先するべきか。
せりが、下に向かう階段の前で私を振り返った。
「下に、何かあるんだね?」
イカミミの警戒状態ではないから、それほど危険でもないだろう。
のぞき込むと、階段の下は暗くて私にはよく見えなかった。
ただ、私と同じように下をのぞき込んだりゅうたろうはけろりとしている。
「いいよねー、猫は」
暗くても見える猫達と違って、私には灯りが必要だ。
えーと。
周囲を見回すと、灯りのともっていない蝋燭を見つけた。近くにあった燭台に突き刺し、くぅに火を着けてもらう。
「ちょっと待ってよ」
ゆっくりと歩く私を置いて、りゅうたろう達はさっさと階段を降りていってしまった。
せりが扉をカリカリ引っ掻いている。
「開けてほしいんだね?」
両手で扉を押す。ひどく重い。
……よつば、あんた開けられるんじゃ?
よつばは知らん顔で、顔を洗っている。
単に、面倒だっただけだな!?
蝋燭をかざして、部屋の様子をうかがう。
「!」
大きな魔方陣の中心に、女の子が座っていた。
ラーラ!?
いや、違った。
この子は、ラーラよりも年上に見える。
「あ……」
女の子が身体を動かすと、じゃらりと音がした。
「!?」
女の子には、鎖のついた首輪がつけられていた。
あの時、くぅの足元に落ちていたのと同じものだった。




