魔導の塔。
「これか」
あの時、くぅがいた鐘のある高い塔。
ぐるりと蔦でおおわれている。
チャビの回復で、建物は真新しくなっているのだから、この短期間で蔦が生えるわけがない。
入り口が見当たらないところをみれば、この蔦で外部の人間が入り込むのを防いでいるのだろう。
一見さんお断り、ってとこか。生意気な。
我が愛刀、草刈り鎌の切れ味を思い知らせてやる!
ピコン。
スキル草刈りがレベル7になりました。
ふっ。また、つまらぬものを刈ってしまった。
庭の雑草、なめてんじゃねーぞ、コラァ!
さて、気を取り直して。
「せりは『気配察知』。危ないと思ったら、みんなに教えて」
せりがひげをぴくぴくと動かした。
「よつばは『解除』。結界とか魔方陣とか、かたっぱしから解除してね」
よつばは、もふもふのしっぽをぴんと立てた。
「キング」
キングは大きな目で、私を見上げた。
「あんたは、危ないと思ったらせりとよつばを連れて逃げなさい」
せり達は戦闘には向いていない。
「チャビとおこんは、キャットハウスで待機」
「りゅうたろう、大きくなって」
ひらりと肩から飛び降りたりゅうたろうは、虎ほどの大きさになった。
最大で、建物ごとぷちっ! も有りだろうが、それじゃこっちの気がすまない。
楽に逝けると思うなよ?
「福助、全力で『風魔法』」
張り切ってるな、福助。
「くぅ。好きなだけ、やりなさい」
くぅの金色の目が、ぎらりと光った。
まぁ、猫の目は元々光るんだけどな……。
「突撃!!」




