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最期の記憶。
身体中が痛い。
アスファルトが濡れている。
雨、降ってきたのか。
さっきの子猫、大丈夫だったかな。大丈夫だったら、いいな。
起き上がれない。
どうしよう。
早く帰って、猫達にご飯をあげないと。
みんな、お腹を空かしている。
よつばが、勝手にカリカリの袋を引っ張り出しているかもしれない。
猫、近付いてきた。
さっきの子猫の、お母さんかな。
大丈夫だった?
私の顔をのぞき込んで、やれやれという風にため息をついた。
もしかして。
「……」
おかしいな、声が出ない。
ミーコさん、だよね?
そうだ。
はやく、かえって……。
ねこたちに、ごはん、あげな……。




