虹の橋。
一晩降り続いた雨は、明け方近くにはやんでいた。
やかんを火にかけ、お湯を沸かす。
今朝は、コーヒーとバターをたっぷりとつけたパンにしよう。
ちなみに、コーヒーは女神様が向こうから猫達のご飯を手に入れる時に、おまけにつけてくれたものだ。
内職、お疲れ様です。
かたんっと音がした。
「こら、人間の食べ物はダメでしょ」
振り返ったが、猫達はみんな自分のご飯に夢中だ。
「あれ?」
気のせいだったかな。
バターをつけたパンに、スカイビーのとろとろの蜜をかける。
かじりつくと、バターがじんわり染み込んだパンから、ふわりと花の蜜の香りがする。
「うん、美味しい」
さてと、今日はどこに行こうかな。
テントをしまって、りゅうたろうを肩に乗せる。
空には、まだうっすらと虹の痕跡が残っていた。
「……」
飼い主より先に死んだペットは、虹の橋を渡るのだという。
そこで、大好きだった飼い主が来るのを待っているのだ。
今まで見送った猫達も、そこで私を待っていてくれるのだろうか。
だけど。
「ごめんね、まだそっちには行けそうにないや」
今いる猫達を、くぅ達を、守らないといけないから。




