招き猫。
毎日こつこつと薬草採取の依頼をこなし、たまに見つけた鉱石を売り、それなりにお金はたまった。
まぁ、そのほとんどは猫達が狩ったマーウやレッドバードを売ったお金だけど……。
私はといえば、なぜか草刈りスキルがレベル3からレベル5まで上がっていた。
普通、採取スキルが上がるもんじゃないのか……?
今日も薬草採取の依頼を、と。
「ん?」
アレキサンドライトに現れた小型のドラゴン、まだ探しているのか。
しかも、提示されている報酬が倍になっている。
三ヶ月もたったのに、しつこいな。
「……一応、用心しておくか」
ん?
スマホに女神様から着信があったようだ。
ギルドにいる時はマナーモードにしているから、気づかなかった。
……まあ、多分、アレだよな。
「りゅうたろうちゃん、キングさん、お久しぶりです!!」
先週もお会いしましたけどね……。
「ほかの皆さんは……」
はい、はい。
キングの「空間転移」があるので、女神様は気軽に神殿に呼ぶようになった。
あの、ふわっとする感じ、苦手なんだけどなぁ……。
「先に荷物もらっていい?」
「はい、どうぞ」
いくら女神様でも、一応は神様だ。
猫会いたさに、意味もなく来させているわけではない。
うちの猫達のご飯を用意してくれているのだ。
向こうの世界のキャットフードが手に入るのはありがたい。
無限収納に入れっぱなしのドラゴンにも、食べさせないといけないし。
ちなみに、ドラゴンは缶詰よりカリカリの方が気に入ったらしい。
「前から気になってたんだけど」
何でしょう? と、おこんと遊びながら女神様が首をかしげる。
「向こうの世界のものって、どうやって手に入れてるの?」
「ズルは、してません!!」
むきにならなくても、大丈夫。分かってます。
そもそも、ズルしてもソッコーでばれそうだし……。
「つかささんの世界には、招き猫ってありますよね」
「うん」
最近は可愛いのもあるので、家にも何個か飾ってあった。
もちろん、猫の手が届かない所に。
「運を招く、という共通点がありまして」
「招き猫さんのお手伝いをして、向こうの世界にある猫さん達のご飯を分けてもらっているんです」
「……」
労働と対価です、と女神様は胸を張っている。
いや、なんか、ごめん。
まさか、うちの猫達のご飯のために、女神様に内職をさせていたとは……。




