第八の猫、参上! 今日で世界は終わります……。
私のテイマースキルを使って、くぅの気配を探る。
やはり、ここアレキサンドライトにいるのは間違いない。
スキルは……。
「……は?」
火魔法、土魔法、水魔法、剣魔法、複合魔法、魔法耐性、物理耐性。
いや、いや、いや。
バランスがおかしいだろ!!
うちの猫が、どこかの無双系主人公みたいになってる……。
「やっぱり、これはくぅがやっているのか」
理由は分からないが、アレキサンドライトを壊滅状態にしているのはくぅだ。
チャビが、一点を見つめている。
チャビとくぅは、姉弟で保護した猫だ。
「くぅ、そこにいるの?」
目を凝らすと、高い塔のてっぺんにある鐘の所で小さな黒いものが動いているのが見えた。
あれか!?
「キング、『空間転移』」
キングが瞬きをする。
私達は塔のてっぺんに移動した。
「くぅ!」
くぅはしっぽを大きく膨らませ、身体中の毛を逆立てている。
若い頃はチャビと一緒に悪さもしたが、シニアといわれる年になってからはすっかりおとなしくなった。
若い猫達にちょっかいをかけられても、嫌がって逃げるだけだ。
しかし。
突然キレるのだ。
そうなると、うちの猫達にくぅに歯向かえるものはいない。
「ん?」
くぅの足元に、鎖のついた首輪が落ちていた。
まさか、あれでくぅを……?
血の気が引いた。
ここは魔法都市だ。
強い魔力を持つくぅを、どうにかしようとした輩がいたのかもしれない。
キングが怯えていたのも、もしかしたら同じ理由かもしれない。
「……」
女神様、ごめん。
今日で、世界は滅ぶかもしれません……。




