猫神。
「やっぱり、女神様は人気があるんだねぇ」
肩乗りサイズのりゅうたろうを連れて、私はあちこちの神殿をのぞいてみた。
女神様の神殿は大勢の人が集まり、なにやら華やかだ。
運命神の神殿は、ここでもさびれている。
海の神様に、鍛冶の神様。
知の神様は、やはり学園都市のトパーズでは一番人気のようだ。
「……で、ここは何の神様なんだろう」
ほかより一回り小さな神殿だったが、参拝している人はわりと多い。
そして、神殿の敷地のあちらこちらに、大きいのから小さいの、陶器で出来ていると思われる置物からふかふかのぬいぐるみまで。
異常な数の猫がお供え(?)してあった。
こんな感じ、テレビとかで見た事があるような……。
あれは神社だったかな。
「すいません、ここって猫にまつわる神殿なんですか?」
近くにいた学生らしき少年達に尋ねてみた。
「ここは、猫神様の神殿ですよ」
やっぱり猫か。
「この猫達は?」
「猫神様は九つの命を持っており、その魂はそれぞれ別の世界におられると言われています」
ほう。
「それにあやかって長生きしたい人達が、猫の形をした物をお供えしているんですよ」
なるほど、それでか。
「教えてくれて、ありがとう」
「いいえ。お……姉さんも猫を連れているみたいですし、お参りしていったらどうですか」
……今、おばさんとどっちにしようか迷ったよね?
まぁ、この世界の平均寿命は六十才くらいだし、学生さん達はまだ若いし……。
…………………………。
福助、「風魔法」。
って、いやいや、冗談ですよ?




