そんな気はしてました、ぱーとつー。
ふんふんと、誰かが私の顔をのぞきこんでいる。
「……ごはん? ごめん、あと5分だけ待っ……」
あれ?
手を伸ばしたが、ふかふかもふもふの感触がない。
「んー?」
そうだ。昨日は、山道の途中で夜になりそうだったのでオニキスの宿屋に泊まったのだ。
べ、別に、フライリザードの唐揚げが食べたかったとかじゃないからね! 勘違いしないでよ!
「…………」
やめよう、アラサーのツンデレは自分もキツイ。
ベッドに猫達はいない。
宿屋に泊まった時は、迷惑をかけるといけないのでキャットハウスから出さないようにしていたのだ。
「……寝ぼけてたのかな」
とりあえず、顔を洗って起きるとするか。
城門から出ようとすると、せりがキャットハウスから出てきた。
「こら、ダメでしょ」
って、私の許可がなければ出てこれないはず。
……緊急時以外は。
せりは全身の毛を逆立てていた。
「気配察知」か!
そういえば、オニキスは魔物が襲ってくるのだった。
「りゅうたろう、大きくなって。せり、『隠密』」
私がせりを抱いたまま触れていれば、「隠密」の効果はりゅうたろうにもあるはずだ。
「……?」
雷が鳴った時のように、空気が震えた。
上空に見える巨大な影。
ドラゴンだ!




