女神の神殿。
次の目的地に向かう途中だからと女神様に懇願されて、私達は神聖王国クリスタルに立ち寄った。
女神の神殿があり、そこに行けば直接会えるらしい。
……さては、動画じゃ物足りなくなったな。
「立派な神殿だ……」
街の外れにある坂の上に、女神様の神殿はあった。
「こんな遠くからでも見えるんだ」
けっこうな坂だったので、前の私なら行く前に諦めていたかもしれない。
身体が動くというのは、いい事だ!
私は肩乗りサイズのりゅうたろうを連れて、女神様の神殿に向かった。
坂の麓には店が立ち並び、参拝客で賑わっていた。
大陸中から人が集まっているらしい。
そんなに人気なんだ。
あの女神様がねえ……。
神殿の奥には女神様の像があった。
多くの人が祈りを捧げている。
「うーん……」
確かに女神様は美人だったけど、こんなにスタイル良かったかなぁ。
……特に胸の辺りとか。
まぁ、人の事は言えませんけど……。
「りゅうたろうちゃん! お久しぶりです!!」
像の中から、するりと女神様が抜け出した。
「大丈夫でしたか? お怪我はありませんか?」
私は無視か!?
いや、そんな事より。
「女神様が降臨なされた!!」
「1000年ぶりの奇跡だ!!」
「ありがたや、ありがたや」
「ところで、女神様が話しかけられたあの方はいったい……」
「……猫?」
この騒ぎをどうする気だ、アホ女神!




