暴走×2。
つまり、あれか。
魔王と化したくぅが、運命神に襲いかかり。
私を「回復」させようとしたチャビが暴走した結果が、これなんだな?
おそるおそる神殿から外の様子をのぞいてみた。
街の様子は、以前と変わりがない。
どうやら、異変が起こったのは神殿だけだったようだ。
ほっとしたのもつかの間、ざわざわと人の声が近づいてきた。
そりゃ、そうだ。
ぼろぼろだったはずの神殿が、いきなり真新しくなったのを見たら、確認しにくるよな……。
「うん、逃げよう」
その前に、あの人魂もどきをどうにかしなくては。
「おこん、『創成魔法』。ペットキャリー。あ、今回は小さいのでいいからね」
「にゃん!」
通常サイズのペットキャリーに、元運命神の人魂もどきを入れる。
特に抵抗する様子もない。
そういや、記憶も消えるんだったな……。
「キング、『空間転移』。女神様の神殿!」
キングがぱちりと目を閉じると、微妙な浮遊感と共に私達は女神様の神殿に移動した。
「つかささん!?」
女神様が慌てた様子で、自らの像から抜け出してきた。
初めて見た時は神官や参拝者の人達も大騒ぎをしていたが、すっかり見慣れた今では、みんな反応が薄くなっていた。
「猫さん達は、ご無事ですか!?」
相変わらず、ブレないな!
「大丈夫。……私もね」
まぁ、ちょっと死にかけたけど!?
「新しい猫さんですか?」
首を傾げながら、女神様がペットキャリーをのぞき込む。
「ああ、これ、運命神」
「……………………え?」
「《ことわり》は燃やしたんだけど、運命神とくぅ達がちょっとモメちゃって」
「……」
「チャビの暴走で、多分神様になる前まで戻されたんだよね」
「…………」
「どうしたらいいのか分からなかったから、とりあえず持ってきた」
「……………………」
へなへなと、女神様が座り込む。
「女神様、ほかの神様達に連絡してくれる?」
これをどうするか確認したいんだけど、とペットキャリーをかかげてみせる。
黙って、それを見つめていた女神様が、ふっと気を失って倒れ込んだ。
「チャビ、『回復』!」
慌てて、チャビに指示を出す。
しかし、神様って気絶するものなのか!?
第九部 完
これにて、本編終了となります。
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「にゃ!」
「福助! 読者さんを吹き飛ばしてどうする!?」
「そうですよ。どこに行ったか分からなくなったら、ぽちっとしてもらえなくなりますよ?」
「そこじゃない!」




