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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。 もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?  作者: たまご
第九部 望む世界

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種火。

私達は、この世界で生きる事を選んだ。


私達は、すでに、ここに存在しているのだ。


それを、運命神の気持ち一つで好き勝手に変えられる《ことわり》のせいで、なかった事にされてたまるものか!


「福助、『風魔法』!」


「にゃ!」


福助が張り切って鳴いた。


福助の回りを、きらきらしたものが弾むように飛んでいる。


激しい風の渦が、運命神を襲う。


「くぅ、『剣魔法』!」


「にゃお」


くぅが作り出した数えきれないほどの剣が、運命神の身体に突き刺さる。


と思った瞬間、運命神は身体をひねらせて剣を避けた。


それでいい。


避けた先には、すでによつばがスタンバイしている。


「よつば、『魅了』。最上級!」


よつばはそっと運命神の足に触れると、くりんと首を傾げてみせた。


「にぁぁぁん?」


うちの猫達のスキルは、神様にも効果がある。


火の神様や農耕神様で実証済みだ。


運命神は操り人形のように、不自然な動きで《ことわり》を差し出してきた。


「りゅうたろう!」


りゅうたろうが運命神に飛びかかる。


運命神は我に返ったらしく、慌てて手を引こうとした。


ムダだ、もう遅い!


りゅうたろうが《ことわり》を奪い取り、私の元へと身を翻した。


無限収納から、紅い刃の大鎌を取り出す。


「神の《ことわり》を、人が損なう事など出来ぬ!」


運命神はそう叫びながら、手を伸ばしてきた。


確かに、普通の武器では無理だろう。


だが。


「これは、火の神様からもらった魔炎石と合成した武器なんでね!」


「な……っ!?」


勢いよく、大鎌を《ことわり》に振り下ろす。


突き刺さった所から小さく煙が上がり、黒い焦げ目が広がっていく。


「くぅ、燃やして!」


「にゃお!」


くぅの「火魔法」が、大鎌を種火として《ことわり》を燃え上がらせた。


この世界の《ことわり》が、ただの黒い塊へと姿を変えていく。


これでいい。


私達には、この世界で生きるもの達には、必要のないものだ。


「にゃあ!」


せりが大きな声で鳴いた。


その瞬間、私の身体は吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。


……まずい。


身体中が痛い。


起き上がれない。


ごぼり、と自分の口から嫌な音がするのを聞いた。


「あの時」と同じだ。


向こうの世界での、最期の記憶。


チャビが私の耳元でごろごろとのどを鳴らして、「回復」させようとしている。


ごめん、チャビ。


多分、これ、ムリだよ……。













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