表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。 もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?  作者: たまご
第八部 運命神の《ことわり》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

197/212

宴。

お社に戻ると、お稲荷さんだけではなく、サナやナルシ、エルフ達の姿もあった。


大きな怪我はなさそうだが、みんなぼろぼろだった。


「チャビ、『回復』……」


「いいよ、いいよ」


チャビに「回復」を頼もうとすると、サナが手をひらひらと振って笑った。


「たいした傷じゃないよ」


「猫達も疲れているだろう」


確かに、いつもほどは元気がないが、おそらく眠くなってしまったのだ。


よつばだけが、わくわくしているようだった。


「あのでっかいのが出てきた時には、もうダメかと思ったけどね」


「……美味しいらしいよ?」


「は?」


「た、食べるのか!?」


私の言葉に、サナもエルフ達も顔を強張らせた。


しかし、ナルシだけは重々しく頷いている。


「よつばが言うなら、間違いはない」


……いや、うん。そうなんだけど。


「『島鯨』は美味しいですよ」


お稲荷さんはにこにこしながら言った。


「島鯨」の部分は、真珠国周辺で使われているニホ語と言われているなまりだったため、サナ達は聞き取れなかったようで首を傾げている。


「お稲荷さんは食べた事があるの?」


「はい。五百年くらい前だったと思いますけど」


なるほど。滅多には食べられないわけか。


「ほかの人達にも、食べさせてあげようか?」


「にあん!?」


信じられない、といった表情でよつばが鳴いた。


「だって、よつばだけじゃ食べきれないよ。おなか壊したら困るし」


不満そうなよつばをどうにかなだめると、お稲荷さんが解体や調理をする人達を手配してくれた。


しばらくの間、境内は炊き出しをしているような状態になった。


ようやく終わった頃には、真っ暗になっていた。


「今夜は新月ですね」


島鯨の刺身を食べながら、お稲荷さんが空を見上げた。


島鯨の身は白っぽく、箸でつまむとぷるぷるとした弾力だった。


口の中に入れると、あっという間に溶けて、ほんのりとした甘味だけが残った。


美味しい。……が、眠い。


とにかく眠い。


米の酒を喜んで飲んでいたエルフ達は、早々とつぶれてしまっている。


サナは槍を両手で抱え込むようにしながら、壁に寄りかかったまま眠ってしまった。


ナルシは黙々と食べているが、いつも以上に口数が少ない。


猫達も最初は喜んで食べていたが、眠気には勝てなかったらしい。


みんな、次々と眠りに落ちていった。


福助など、口に島鯨をくわえたまま、うつらうつらと舟をこいでいた。


カリカリ以外に興味を示さないりゅうたろうは、とっくに私の膝の上で丸くなっている。


元気なのは、ようやく島鯨にありつけたよつばだけだった。


よつば、全部、食べたら、ダメだからね……?


ああ、もうダメ、だ。


目を開けて、いられ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ