殲滅。
今にもかじりつこうとするよつばをどうにかこうにかなだめ、いったん、鯨モドキを無限収納にしまった。
残りの魔物を始末しなければ。
とは言っても、私とよつばが小競り合いをしている間に、ほかの猫達があらかた片づけてしまっていた。
「せり、どう?」
せりがぴくぴくとひげを動かしながら、気配を探る。
ぴしっと胸を張って、せりが鳴いた。
「にゃあ!」
大丈夫のようだ。
港は問題ないと思うが、ほかの場所が心配だ。
急いで戻らなくては。
りゅうたろうとドラゴンちゃんを呼び戻し、船を港へ向かわせた。
ドラゴンちゃんが座っていると、船首についている像みたいだな。
あれは、本来は女神様の像だったか……?
あー、うん。やめた方がいいな。
女神様の像を飾ったりしたら、うっかり沈みそうな気がするし……。
港に戻り、船をしまう。
港には、おそらくサナ達が倒したであろう魔物が山のように積まれていた。
だが、サナ達やエルフ達の姿は港にはなかった。
すでに、ほかの場所の応援に向かったのだろう。
私達も行かなければ。
「りゅうたろう、ドラゴンちゃん。先に行って」
「……!」
りゅうたろうが、口をにゃーの形に開く。
ひらりとドラゴンちゃんの背中に飛び乗ると、そのまま空へと舞い上がった。
「せり、危ないのはどこ?」
せりはぴくぴくとひげを動かすと、さっと走り出した。
私達も慌ててあとを追う。
「あきらめるな!」
「頑張れ!」
大勢の人が、門を押さえていた。
冒険者だけではなく、商人風の人や真珠国のお店で見かけたような人達も混ざっていた。
「絶対に、中に入れるな!」
門が、押し破られそうになっているのか!
「くぅ、門の向こうに攻撃!」
「にゃお」
くぅが一声鳴くと、炎をまとった岩が無数に降りそそいだ。
「チャビ、『回復』!」
ごろごろとチャビがのどを鳴らす。
亀裂の入りかけていた門扉が、真新しい状態に戻った。
門の前で頑張っていた人達が、へなへなと座り込んだ。
「助かった……?」
「まだ、気を抜かないで!」
声をかけて奮い立たせる。
身体の方はチャビの「回復」で問題ないはずだが、気の緩みから、何かあった時に対応が遅れるとまずい。
「福助、『風の矢』!」
「にゃ!」
福助が張り切って鳴いた。
福助の作り出した「風の矢」が、空の魔物達を貫いた。
りゅうたろうとドラゴンちゃんは、しばらく真珠国の上空を旋回していたが、そのまま私の所に降りてきた。
もう、大丈夫か?
せりがぴくぴくとひげを動かして気配を探る。
「にゃあ!」
私の顔を見上げ、嬉しそうにせりが鳴いた。
終わった、のか……。
いや、まだ怪我人や破損した箇所の対処が残っている。
「みんな、行こう!」
「……にあん」
まだ食べられないのか、とよつばがふてくされたように鳴いた。




