表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。 もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?  作者: たまご
第七部 《ことわり》をはずれたもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

180/212

魔王の怒り。

ダメだ!!


そう思った瞬間、ちりん、と小さな鈴の音がした。


まばゆい光が私を包み込み、気がつけば私に向かって短刀を振り上げていたやつは倒れていた。


「……?」


ふと腰にぶら下げていた御守りが光っている事に気がついた。


「これは……」


お稲荷さんのくれた御守りだ。


三回だけ身代わりになってくれると言っていたそれは、地下迷宮の時に一度だけその力を発揮した。


そうか。今のが、残り二回のうちの一回だ。


「おこん、大丈夫!?」


私の元に、おこんが駆け寄ってきた。


キングと福助も慌てた様子で、走ってきた。


「どうしたの?」


原因はすぐに分かった。


くぅだ。


逆立てた毛がばちばちと静電気を起こし、牙をむき出したその顔はもはや猫というより猛獣にしか見えない。


おこんと私が殺されそうになり、くぅがキレたのだ。


「うなぁぁぁぁおぅぅぅぅぅ!!」


くぅの雄叫びに、空気がびりびりと震える。


怒りの炎が、くぅを取り巻いているようだった。


ヤバい、まずい。


世界が滅びる!


やつらは真っ青になり、がたがたと震えていた。


……あいつら、世界を滅ぼすつもりじゃなかったのか?


思い通りの展開になったんじゃないのか?


いや、世界を滅ぼすだけの力というものを、本当の意味では理解していなかったのだろう。


目の前にして、初めてその威力に気づき怯えているのだ。


そして、その力は自分達へと向けられようとしている。


別に、やつらがどうなろうと知った事ではない。


クラーケンやドラゴンちゃんに呪いをかけて操ったり、ドワーフ達の住む火山都市ガーネットの休火山を噴火させようとしたり。


自分達のために、平気で他者を犠牲にしようとしたのだから、自業自得だ。


だが。


うちの猫に、世界を滅ぼすような事をさせるわけにはいかない。


とはいえ、あそこまでキレているくぅは見た事がない。


どうしたらいいんだ……。


ひょい、とキャットハウスからチャビが顔を出した。


くぅに近づいていく。


「チャ、チャビ、大丈夫……?」


姉弟猫であるチャビは、ほかの猫達よりくぅを怖がらないが、普段は空気を読んでキレている時は近づかない。


怒り狂っているくぅに、ごんっと体ごとぶつかっていく。


「シャー!!」


案の定、くぅはチャビに向かって威嚇の声をあげた。


しかし、チャビはごろごろと喉を鳴らしながら、なおもくぅにまとわりついていた。


結局、折れたのはくぅの方だった。


渋々といった感じではあったが、ぺろっとチャビの頭をなめたのだ。


「助かった……」


これで、世界は救われた。


さすが、チャビ! 


魔王の怒りを静めるとは、癒し系を通り越して、もはや聖女ポジションだ!


……オスだけど。

 









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ