混戦。
忍者達が一斉に襲いかかってきた。
私達の間にするりと入り込む。
まずい!
入り混じった状態では、福助は「風魔法」を使えない。
私達ごと吹き飛ばしてしまうからだ。
くぅは器用だからどうにかするだろうが、威力の強い魔法は無理だ。
それに。
私は紅い刃を持つ大鎌を手にした。
こいつら、私を狙ってきている。
確かに、一番弱いやつから始末するのは常套手段だ。
テイマーである私がいなくなれば、猫達に指示を出す人間もいなくなる。
りゅうたろう達を無力化しようとしたところからして、うちの猫達を捕まえて利用するつもりなのだろう。
そんなこと、させるもんか!
大鎌を振り下ろす。
素早いやつらに、私の攻撃は当たらない。
それどころか、反撃をくらい私の身体は傷だらけだ。
「身体能力強化」のスキルと物理耐性がなければ、とうに動けなくなっていたはずだ。
別に、私がこいつらを倒す必要はない。
気をそらせれば十分だ。
「おこん、『引っ掻き』!」
忍者以上に素早い動きで、おこんがやつらの足元をすり抜ける。
引っかかれた連中は、そのままの姿で動けなくなった。
おこんの攻撃に気づき、残りのやつらはさっと身を引いた。
「キング、『影魔法』で拘束!」
「にゃう!」
キングの影が長く伸び、それと自分の影が重なったものはやはり動けなくなった。
「くぅ、『剣魔法』!」
「あぉぉぉ!」
くぅの放った数百もの剣が、やつらに襲いかかる。
さすがに身のこなしが軽い。
くぅの「剣魔法」を避けたものも多い。
だが。
今までの攻撃で、十分な距離が取れた。
「福助、全力で『風魔法』!」
「にゃ!」
福助の回りを取り巻いていたきらきらしたものが、踊るように跳ね回った。
風は激しい渦を巻きながら、凄まじい音と共にやつらを宙へと放り出した。
「くぅ、もう一度『剣魔法』!」
空中では、くぅの「剣魔法」は避けきれないだろう。
「にゃああああ!!」
せりがキャットハウスから顔を出し、大声で鳴いた。
「!」
おこんの背後に、新たな人影が現れた。
あの時、図書館にいた学生風の一団だ。
やつらは、おこんに向かって短刀を振り上げた。
「おこん!」
私は大鎌を投げ捨て、おこんの元に走った。
どうせ、私の攻撃はやつらには当たらない。
なら、少しでも身軽な方がいい。
振り下ろす直前に、おこんの元に着いた。
私はやつらに体当たりをかまそうとしたが避けられた。
だが、おこんへの攻撃は防げた。
「おこん、無事だね!?」
「にゃああああ!!」
もう一度、せりが大きな声で鳴いた。
私の目の前に、鋭い刃が迫っていた。




