学園都市。
魔法都市アレキサンドライトか?
いや、あそこは魔導の塔があったが、外部の人間には教えないはずだ。
それに、真珠国の人々は黒い髪に黒い目で外見的にも目立つ。
紛れ込むのは難しいだろう。
ならば。
「……学園都市トパーズか」
あそこには、確か大陸最大の図書館があった。
それに、大陸中から様々な人々が集まってきている。
ほかではあまり見かけないエルフさえいるから、真珠国の人々でも違和感はない。
学生としてなら、紛れ込むのは容易だろう。
よそから来た学生も大勢いるから、情報収集もしやすいはずだ。
とりあえず、行ってみるか。
「何か分かったら、連絡して」
「はい、分かりました」
頷いたお稲荷さんは、しょんぼりとしっぽをたらしている。
「お稲荷さんは、悪くないよ。大丈夫」
そう言いながら、つい頭を撫でてしまった。
なんか、放っておけないんだよな……。
「キング。トパーズに『空間転移』」
キングがぱちりと目を閉じると、微妙な浮遊感と共に私達はトパーズへと移動した。
学園都市トパーズ。
色々な国や都市が共同で資金を出し合って設立した都市で、あるとあらゆる事が学べる。
大陸中から人が集まり、それにより独自の文化が発展した都市でもある。
ここのギルドは学生達がメインで依頼を請け負っているので、冒険者の数は少ない。
黒い霧の事はここのギルドにも連絡はいっているはずだが、対応は難しいかもしれない。
さて、どうするか。
クラーケンに刺さっていた杭に書かれていたのは、確か「滅びを運べ」だったか?
古代神語による呪いの言葉。
んー?
基本は学校で学ぶとして、それを応用するなら……。
私だったら、図書館で専門的な事を調べ、それから実践で試すだろう。
まずは、図書館とギルドだな。
街の中心に、巨大な木造の建物があった。
ドームのような形に木を組み合わせている。
これが、大陸最大の図書館か。
入り口で登録すれば、誰でも利用出来るらしい。
中に入ると、木と紙の合わさった独特の匂いがした。
「えーと、古代神語の本は……」
図書館の一角に、古代神語に関する本が集められていた。
読む人はほとんどいないのか、分厚い本は綺麗なままの物が多かった。
……研究書みたいなのが、ほとんどみたいだな。
魔方陣や呪いに関する本を探せばいいのか?
「せり、探せる?」
こっそりとせりに声をかける。
せりがぴくぴくとひげを動かした。
とりあえず、せりが反応した本だけを抜き出したが。
「多いな……」
これ、私一人で調べるのか……。




