見えたもの。
「それで、みうに『見て』もらいたいんだけど」
「……」
「みう、どうした?」
長が首を傾げる。
「『見る』のはいいけど、ご飯のあと!」
……なるほど。
何か見えたら、私達が行ってしまうと思っているのか。
信用されてないな……。
まぁ、仕方ないか。
どっちにしろ、猫達も休ませないといけないし。
「じゃあ、ご飯のあとにお願いね」
そう言うと、みうはにっこりして頷いた。
「うん!」
猫達にはキャットハウスでご飯を食べさせて、私はエルフ達とご飯を食べる事にした。
……よつばは勝手に出てきて、何か食べようとしているが。
ワイルドボアの蒸し焼きや、レッドバードと香草のスープなど、味付けはシンプルなものがほとんどだった。
翡翠の森にしか生えない、虹色のキノコを焼いたものもあった。
……これ、食べて大丈夫なのか?
ノアルという林檎に似た香りのする果物や、ルッコの実を搾ったジュースも出てきた。
スカイビーの巣から造った蜜酒もすすめられたが、それは断った。
お腹一杯だというのに、どんどん食べさせようとするのにはまいった。
エルフは、けっこう大食いだからなぁ……。
食事が終わる頃には、もう暗くなっていた。
「みう、そろそろお願いできる?」
「うん、分かった」
みうの瞳が、金色に光った。
「……何か、変な文字を書いている人達がいるけど、それかなぁ?」
変な文字って、もしかして。
無限収納から、古代神語の勉強をした時のノートを取り出した。
「これと同じ感じ?」
ちらりとノートを見たみうが、うんと頷いた。
「あと、変わった服を着ている。うちに出入りしている商人さんが似たような服を着ていたと思うけど……」
商人? どこの人だ?
「あ、つかさと同じで、目も髪も黒いよ」
「え……」
黒い髪に、黒い目。それに、変わった服装、商人。
まさか。
「真珠国……?」
「あ、そうか! あの商人さん、真珠国の出身だって言ってた!」
……何故だ?
運命神は、ほかの世界から来た人々を滅ぼそうとしている。
よそから来た中で、もっとも有名なのが真珠国だ。
ずっと、ずぅっと、昔。
遠い遠い国から船で流れ着いた人々が作った国。
この世界の絵本には、そう書いてあった。
その真珠国の人間が、どうして、運命神の手伝いをしている?




