猫です。
女神様の情報にしたがい、私達が次に訪れたのは商業都市ターコイズ。
石畳に、レンガ造りの建物。
屋台からは、威勢のいい掛け声といい匂いがしている。
「これぞファンタジーよね」
オパール王国の時は、よつばのせいで大変だったからな……。
正直、どんな雰囲気だったのかも記憶にない。
ワイルドボアの串焼きって、あれか、大きいイノシシみたいなやつ。
あっちの焼き菓子からは甘い匂いがしている。
へぇ、付与効果のある手作りアクセサリーか。
キョロキョロしていると、肩乗りサイズのりゅうたろうが私の耳を前足でつんつん触った。
……すいません、はしゃぎすぎました。
なにしろ猫の世話があるものだから、一人になってからはどこにも行けなかった。
向こうではテレビで旅番組を放送していると、つい見てしまっていた。
猫を連れて旅が出来る。
「異世界、素晴らしい……」
こういう場合、情報収集はギルドか酒場と相場が決まっている。
「うん、ギルド一択で」
異世界に来てまで、酔っぱらいにからまれたくない!
町の中心部に大きな建物があり、そこが冒険者ギルドだった。
道を教えてくれた屋台のおばちゃんによれば、ここターコイズの冒険者ギルドは大陸最大規模らしい。
レッドバードの焼き鳥、美味しかったです。ご馳走様。
そういや、言葉とか普通に通じるんだよな。文字も読めるし。
女神様のくれたチートだけど、猫達がスゴすぎて標準仕様にしか思えない。
「職業はテイマーで間違いありませんか?」
「はい、使い魔はこの子で」
受付のお姉さんがまじまじと、りゅうたろうを見た。
「猫……? もしかして、ケットシーですか?」
ケットシーってあれだよね、猫の妖怪。
……妖精だったかな。
「いえ、猫です」
「……」
お姉さんがなんともいえない顔になった。
……気持ちは分かります。
「あと二匹登録したいんですけど」
私の言葉に、お姉さんはほっとしたようだった。
「種類は何でしょう?」
「全て猫です」
「…………」
いや、本当にうちの猫達は凄いんだって!
オパール王国の食料庫を空にしたとか、森ごと吹き飛ばして地形を変えたとか、とても人様には言えないような事をしでかしました……。




